視察報告2.ちばレポ(ちば市民協働レポート)視察
●目的
厳しい市の財政状況が続く中で、行政依存体質から住民参加型のまちづくりが一層求められている。しかし、継続的な景気低迷や少子高齢化などもあいまって町内自治会加入率は減少傾向が止まらない。この状況下で“市民参画”のまちづくりを呼び起こすには、従来の方法だけでなく、時代に即した新たな手法の導入も求められる。そのうえで、今回千葉市で実施されている市民と行政をつなぐ新たなコミュニケーションツール「ちばレポ」の取り組みに着目した。市民参画や市民生活の利便性向上のため、ICT(情報通信技術)の活用強化は必須であるため、本市への導入も視野に入れ視察調査した。
●ちばレポの概要
「ちばレポ(ちば市民協働レポート)」とは、千葉市内で発生している道路の傷み、公園遊具の損傷などの課題を、ICTを用いる(携帯で写真を撮影し市のアプリに投稿)ことによって市民と市役所、市民と市民間で共有し合理的かつ効率的に解決することを目指す取組みである。
【主な流れ】
1.レポーター・サポーター登録
レポーター及びサポーター登録は千葉市民に限らずだれでも行えるようになっている。
2.アイディアを提案
道路関係では約13,000件、公園関係では約2,000件の通報・要望が1年間に寄せられ、登録者がレポートを書くと、自動的に道路、公園、ごみ、その他の項目に振り分けられ、市民協働による解決か行政の所管局に連絡がなされる。
3.レポートを地図上に公開・共有
投稿された課題は地図上にアップされ共有され、受付、取組中、対応済みの3段階で水色、黄色、緑と色分けして表示される。可視化、共有化されることにより、市民の潜在的な社会貢献意欲を呼び起こし、参画・共働意識を誘発することにも本事業の大きな狙いと言える。
※直近200件の投稿を表示。
【取り組み状況】
・参加登録者の状況
男性 | 女性 | 団体 | 計 | |
レポーター数 | 2,363 | 572 | 8 | 2,943 |
構成比(%) | 80.3 | 19.4 | 0.3 | 100 |
サポーター数 | 654 | 93 | 4 | 751 |
構成比(%) | 87.1 | 12.4 | 0.5 | 100 |
・レポーター年齢構成
~10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代~ | 団体 | 計 | |
人数 | 27 | 391 | 729 | 901 | 660 | 185 | 42 | 8 | 2,943 |
構成比(%) | 0.9 | 13.3 | 24.8 | 30.6 | 22.4 | 6.3 | 1.4 | 0.3 | 100 |
・サポーター年齢構成
~10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代~ | 団体 | 計 | |
人数 | 7 | 107 | 169 | 194 | 199 | 60 | 11 | 4 | 751 |
構成比(%) | 0.9 | 14.2 | 22.5 | 25.8 | 26.5 | 8.0 | 1.5 | 0.5 | 100 |
⇒レポーター及びサポーターは圧倒的に30~50代の男性が占める。今後は女性の更なる参画が課題。
●本市導入への検討
行政への要望や問い合わせは、市民にとって分かりにくく縁遠い側面があったが、ITCを用いた手軽なコミュニケーションツールを設けることで一気に身近な存在となった。その分、導入による要望数の増はあるが、要望⇒調査⇒実行⇒回答の流れの一元化による業務効率向上が図られることから本市でも導入を目指したい。道路、土木関係に留まらず、市民からの身近な陳情が多い警察業務の領域についても連携できることがより望ましい。千葉市のシステムがオープンソースであるためそのまま活用させてもらう方法もコストの観点から念頭に入れたい。または、近年、京都府で災害対策用の管理システムが作成されたことから、そのシステムを活かした仕組みづくりも視野に入れる必要性がある。