視察報告3.キングスカイフロント(川崎市)視察報告
■キングスカイフロント(川崎市)視察報告
世界をリードするオープンイノベーション拠点『キングスカイフロント』に関して、川崎市総合企画局臨海部国際戦略室に視察に行って参りました。
川崎臨海部は、産業構造の転換(重厚長大産業の衰退)により、工場の撤退等が相次ぎ、遊休地の増大が課題となっていた。
そこで、持続的な成長が期待される三分野に絞り、イノベーションを推進に取り組んだ。
・ライフイノベーション(医療産業)
・グリーンイノベーション(環境産業)
・ウェルフェアイノベーション(福祉産業)
その中で、川崎臨海部の中でも羽田空港と隣接する殿町地区をKawassaki INovation Gateway at SKYFRONT(キングスカイフロント)とし、ライフサイエンス・環境分野の研究開発拠点に指定し、産学官の誘致を行った。また、平成26年には、羽田空港と殿町中央部を結ぶ羽田連絡道路の整備が国の施策で決まり、追い風となった。
結果として、ナノ医療の研究施設やジョンソン・エンド・ジョンソン、富士フィルムRIファーマ、CYBERDYNE等の民間研究所が次々と進出し、医療・福祉分野の一大集積拠点となった。
また、近隣臨海部では、火力・水力・太陽光・風力・バイオマス等あらゆる発電施設や蓄電技術が集積している。加えて、水素ネットワークの構築を行い、水素エネルギーによる「環境問題」「資源問題」「経済成長」の課題解決の牽引を目指す。
川崎市の行政としての取り組みの中で、特に取り上げるべき点は、2点。
1点目は、臨海部が遊休地となった時に、物流施設からのオファーは多数あったにも関わらず、この一等地をもっと有効に活かしたいとの想いから、物流施設の誘致はせず、コンセプトを決めて、上記三分野に絞って誘致を行ったこと。
もう1点は、職員が市内の対象地域をすべて歩いて企業訪問し、地区カルテを作成。企業の業務内容や課題を把握した上で、陳情に応じたり、事業のマッチングを支援したりするなど、企業との信頼関係構築が秀でていたこと。
■中小企業の海外展開支援及び外国企業の誘致(神奈川県)視察報告
中小企業の海外展開支援及び外国企業の誘致に関して、神奈川県産業労働局産業・観光部国際ビジネス課に視察に行って参りました。
海外展開支援に関しては、県内の中小企業の現状や、ニーズから、製造業のアジアへの海外展開を中心に支援。主な取り組みは、下記4点
- ・県内企業国際化支援プラットフォーム
- 県・市町村・商工団体・KIP・JETROなどが役割分担をしながら連携して支援。
- 各種支援ツールや展開事例集なども整備。
- ・民間企業との連携
- 横浜銀行・浜銀総研・東京海上日動との協定を締結。
- セミナーや相談会の実施や現地の情報の提供、事業立ち上げ支援など。
- ・県駐在員事務所の再編・整備
- 大連・バンコク・シンガポール・メリーランドに海外駐在員事務所を設置。
- 中小企業の海外展開の支援や現地情報の収集・提供を行う。
- ・海外現地のおけるソフト・ハード両面の支援
- ベトナムのハノイに「神奈川インダストリアルパーク」を設置する構想の推進。
外国企業の誘致に関しては、インベスト神奈川・ワンストップサービスを展開。
- ・かながわグローバルビジネスセンター(KCG)の整備
- ジェトロ横浜・IBSCかながわ・神奈川産業振興センターの支所・セミナー会場・外資系企業向けレンタルオフィスなどを置き、神奈川への新規進出や二次投資を目指す外資系企業を支援。
- ・IBSCかながわ
- 神奈川県内に新たな拠点設立を検討してる外資系企業が利用できるスタートアップオフィスを提供し、常駐の対日投資アドバイザーの支援が受けられる。具体的には、市場参入のアドバイス・費用計算の支援、許認可手続きや助成金等の情報提供、税理士や行政書士などの専門家の紹介、事務所物件や人材探しの支援など。
- ・外国企業立地助成金
- 県内に進出・再投資する外国企業に対して、工場や研究所の賃借料の一部を助成する。