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視察報告~HAPS~

HAPS視察報告
2012年11月12日(月)

(1)視察者
村山祥栄議員、佐々木隆吏議員、江村理紗議員、中島拓哉議員

(2)視察先
HAPS (東山アーティスツ・プレイスメント・サービス)

踊り念仏で知られる空也上人が平安時代中期に建立した古刹である六波羅蜜寺。この六波羅蜜寺が位置し、東山の山裾の西側から鴨川の川岸までの傾斜地に位置するのが六原学区である。2011年9月、この六原学区に若手芸術家を支援する事業としてHAPSが立ち上がった。

HAPSは現代アートの分野で、若手芸術家のための相談窓口を開設し、様々な支援プログラムを実施している。芸術家の住まいや発表の場の情報提供、助成金申請書の書き方のアドバイス、あるいは海外キュレータの招聘などを実施し、アートと社会をつなぐ活動を展開している。

芸術家を取り巻く環境は厳しい。村上隆や草間彌生など世界的に活躍する日本人アーティストがいる一方で、大半の芸術家はアルバイトで生活費や制作費を捻出するなど、2足、3足のわらじを履きながらの製作活動を続けている。

だからこそ、芸術家を支援する仕組づくりは必要だ。HAPSは、国と市から合わせて1,500万円の助成金を受け、活動をしている。昨年1年間で100件以上の相談を受け、また30近くの支援プログラムを実施した。HAPSは幅の広い活動を展開しているが、注目は地域の空き家対策との連携である。

京都市の空き家率は14.1%である。空き家は地域の活力低下につながるだけでなく、長年放置された空き家は危険家屋となり、社会問題となっている。芸術家は作品制作のために、通常の住まいよりも広いスペースを必要とする。このニーズと空き家のマッチングをHAPSは実施している。

京都市は空き家条例の制定を準備している。空き家対策には、空き家の有効活用、流通促進、発生の抑止など総合的な対策が必要だ。そのひとつとして、文化政策との連携は有効である。香川県の直島は、空き家を現代アートの展示場や芸術家の活動拠点に活用し、まちの活性化に成功している。

芸術家に対する支援は財源の捻出が厳しい。財政状況が厳しい中で文化政策は予算の優先事項とは成り難い。しかし、経済が文化を支えるのではなく、文化が経済を支える視点を持ちながら、若手芸術家の支援をはじめとする文化政策のあり方を考えたい。
(文責:中島)

HAPS.jpg
HAPSウェブサイトより

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