賛成討論 一般会計補正予算について 森かれん議員(2015年9月議会)
地域政党京都党市会議員団は,議第162号 平成27年度京都市一般会計補正予算については賛成をしておりますので,会派を代表して討論を行います。
今回の補正予算は,今後も増加が見込まれる保育需要に対応するため,保育所整備助成や小規模保育整備助成による定員増を行うなど,子育て支援や福祉などの更なる充実を図るための補正予算が計上されています。さらに,この7月に発生した台風11号により被害を受けた道路や河川の災害復旧工事等に要する経費等も計上されており,全体としては必要なものであると考えています。また,国の緊急経済対策により創設された「地域住民生活等緊急支援のための交付金」活用事業のうち,「世界一の観光都市“KYOTO”」ブランド向上事業や伝統産業設備改修等補助金の充実など地方創生先行型を活用した事業についても,地域経済の活性化のためには必要なものであると考えています。
一方で,同じく「地域住民生活等緊急支援のための交付金」活用事業のうち,地域消費喚起・生活支援型事業として今回の補正予算に計上されている,京都市プレミアム商品・サービス券の追加発行に伴う補正予算3億6400万円については,若干会派として考えを申し述べたいと思います。
以前から、このプレミアム商品・サービス券については,
「額面の低さから生活必需品に回ってしまって、消費喚起にはならないのではないか」、
「利用店舗の商品や販売戦略や仕組み作りにかかわらず、価格的なサービスしか存在しないため、効果の持続可能性や発展性は極めて難しいのではないか」、
といった議論がずいぶん委員会でもなされていたことが過去の議事録にも残っています。なかでも平成27年2月23日に開かれました予算特別委員会第1分科会において
「もし仮に門川市長が単費でこれをやりたいんだと言ったら,皆さんどうされていました。」
という質問を京都党会派でさせていただいたところ、
「京都市にいろんな課題があり,施策に優先順位もある中で,市長がこれを単費でするということはおっしゃらないだろうと,私たちは思っております。」
というご答弁を頂いたようであります。まさに効果が薄く、また優先順位は極めて低いという言葉の裏返しだったのではないでしょうか。
実際、第1期プレミアム商品券の販売状況は商品券販売総数40万冊のうち、購入済み冊数は約31万冊で購入率77%でありました。一般販売分に関しては購入率98.1%と利用率が非常に高いものの、唯一、政策効果が見込まれたであろう子育て世帯分の購入率も55.9%に留まり、子育て世代該当者の半数近くの方はそもそも購入すらされていない状況でありました。子育て世代分は該当者全員が購入できるよう枠を大きく設けられており一般販売分の購入率と一概に比較できるものではありません。しかし、実際に子育て世代への周知徹底が出来ていなかったことは否めず、改めて子育て世代に対する支援や対策の難しさを痛感させられるものであります。
そもそも、中小企業振興や商店街の活性化を含めた地域の消費喚起対策は、一過性のものではなく、継続的な消費に繋がっていかなければその意味が果たせません。プレミアム商品券による個人消費の押し上げ効果は、商品券をきっかけに新たな需要が喚起された上でその他の消費が減少しないことが前提となります。しかし、かつてバラマキ政策として地域振興券や定額給付金といったものが実施されましたが、明確な消費増加効果があったと認められていません。そもそも今回のプレミアム商品券は事業規模が小さいため、過去と比べても大幅な消費押し上げ効果を期待するのは難しいと考えます。
これまで京都市では、国から下りる補助金はしっかりいただいたほうがいいだろうということで、全額国庫負担金で行われる事業についてはもろてをあげて賛成をしてきた過去からの経緯がございます。もらえるものはもらっておこうという発想の中で、国のお金はあくまで国のお金であり、私たちには関係ないのだという考え方の下で国と地方の構図がずっと続いてまいりました。しかしながら、この国と地方の構図そのものが正しいのかどうかということに対して、私たちは考えなければならないのではないかと思うところです。なぜなら、国のお金も私たちの血税であることは間違いのない事実であり、国のお金は国のお金、京都市のお金は京都市のお金という概念で議論すること自体が私たち市民にとって本当によいことであるかは慎重に考えなければなりません。
結びに、これまでプレミアム商品・サービス券について若干会派の考えを申し述べてまいりましたが,いずれにしても,その他子育て支援,福祉の充実や京都経済活性化のための経費を含む本補正予算の執行に当たっては,より市民にとって効果的なものとなるよう取り組んでいただくことをお願い申し上げまして,討論とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。