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賛成討論 一般会計歳入歳出決算について 村山祥栄議員(2015年9月議会)

地域政党京都党市会議員団は、報2号平成26年度京都市一般会計歳入歳出決算について賛成するとの態度を表明しておりますので、会派を代表して討論を行います。

 平成26年度は、「はばたけ未来!京プラン」の4年目にあたります。特に、観光分野、子育て支援分野では、成果の大きい1年間であったと捉えております。また、歳出総額においても、当初予算額7395億円に対し、決算額では7172億円と予算執行にあたり、様々な工夫をされ、支出抑制に努力されたものと受け止めております。結果として、特別の財源対策による公債償還基金の取崩額も当初予算額12億円に対し、決算額では9億円と縮小できたことは、評価できるものでございます。
 現在、進行しております平成27年度は「はばたけ未来!京プラン」の取組前期の最終年度でございます。来年度から始まる取組後期では、プランにもありますように特別の財源対策からの脱却をしなければいけません。平成27年度決算では、本年度同様、予算計上された特別の財源対策としての公債償還基金の取崩額を出来る限り圧縮するとともに、平成28年度以降は、同取崩から完全脱却し予算及び決算に計上しないことを求めます。
 また、基金の繰替運用及び一般会計への貸付に関しては、条例の趣旨及び「繰替運用」及び「処分」の項目に関する文言を遵守して頂く必要がございます。市庁舎整備基金からの貸付114億円の繰戻しが出来ないことに関しては、重く受け止めて頂き、公債償還基金からの貸付け287億円及び市営住宅基金からの貸付30億円については、毎年度更新という事実上期間の定めのない状態を脱し、確実な栗戻し期間を定め、段階的に貸付残高を減らして頂く事を要望致します。
 かつて、松下幸之助さんはダム式経営を提唱されておりました。経営というのは、ダムがいつも一定の水量をたたえているように、不測の事態に備えて、資金も人材も蓄えておかなければならないというものでありますが、それに対し「どうしたらそれが出来るのか」と問われ、「私もよう知りませんのや。知りませんけども、まずはダムを作ろうと強く願うことですわ」と仰り、それを聞いた稲盛和夫さんは衝撃を受けたといいます。大切なことは難しいが、無理してでも基金を崩さない、起債をしないと強く願い、行動することだと存じます。

次に先般の市長総括でも指摘を致しました児童養護施設を巡る事案についてであります。本日はプライバシーに掛かる部分は控えさせて頂きますが、こういった審議を進める際、プライバシーの取扱いについては慎重に取り扱うべきものであり、それらについて先に触れておきたいと存じます。
一部でプライバシーを侵害しているという声も聞いておりますが、今回の場合、すでに府警発表より報道されていることが中心であり、議事では事件に掛かるその前段の話、またそれに付随する審議に必要な最低限の情報であり、このために新たに発生したプライバシーの侵害はないと理解しております。また、ご承知のとおりプライバシーの問題は公益性の確保および被害者の利益とのバランスの問題であり、この事案が公益性を持たない取るに足らないものと断じることができない限り、一方的にプライバシーの侵害にあたると断じることはできないわけであります。その点も含め、しっかりとこの問題の真相を明らかにすることが肝要なのでありますが、行政当局はプライバシーの保護を理由に、私が委員会で要求した資料は出てこず、教育福祉委員会の要求資料をそのままコピーして頂いたのみでありました。行政の不作為や不適正な執行を調査することは議会の重要な責務であります。これがプライバシー保護の観点から、調査が行き詰まることは今に始まったことではありませんが、これを機に議会は秘密会による手法も含め、真相究明できる仕組みを考えていく必要があろうかと思います。これは問題提起として申し上げておきます。
それともう一点、今回の審議の中で気になりましたのは、職員の守秘義務に関する考え方についてであります。公務員の守秘義務は地方公務員法34条に明記された重要な条文でありますが、法律上守秘義務が課せられておりますのは、「正当な理由なく」という前提があります。つまり,守秘義務違反であるかどうかは、秘密を漏らすに正当な理由があったかどうか、その点に掛かっている。よって,そこを明らかにする必要があります。今回の事案に関して言えば,「隠ぺいされた行政の不作為を明らかにし,ただすこと」。これは紛れもなく正当な理由にあたるのではないでしょうか。また、一方で刑事訴訟法第239条二項で「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」という、公務員には守秘義務の真逆、告発義務を課しております。これは業務にあたって法令違反、犯罪があると解されるとき、公務員は告発する義務をおうというものであり、この場合児童虐待防止法に反すると解し行動されたものだとすれば、その点も同時に考慮しなければなりません。確かに機密情報が流出したことは憂慮すべきことであることは理解できますが、一定それらの情報なくして内部告発は成り立たないことも同時に考慮すべきと解します。普段より皆様同様議員の元には多く告発が寄せられます。その中には意趣返し的なものや私的なもの、真実を都合よく捻じ曲げられたものなどが多くあり、我々はその告発の信ぴょう性を確認し、相談者と向き合うのが常であります。その際に一定信ぴょう性の高い、信頼に足る情報がなければ我々は適切な対応が出来ませんし、告発者からするとその為に危険を冒してでも我々を動かすに足る材料を用意しようとするのは告発という性質上当然の処置であり、それが良心に基づき、組織の不作為、違反を公にする行為であったならば、それは責めを負うべきものではありません。
 行政も含め組織は肥大化する中で、どうしても不作為が起こりえます。法令違反も起こりえます。だから、国は公益通報制度などを設置し、組織内で自ら浄化する仕組みづくりを考えました。それは、通報した方々、告発した方々は守られるという前提でなければ成り立たない話であり、犯人捜しをするなどということがおおやけになれば、今後、勇気ある、正義ある職員の登場は望めないことになります。このたび、情報が寄せられたのは議会の一員である私のもとでありますが、それは公益通報や監査事務局に準じた立場で、内部の人間が内部の人間を調査する公益通報よりも、庁内の不正はチェック機関たる議会がしっかりと向き合ってくれるだろうという職員の期待感の表れであり、それが今回は偶然私の元に届いたに過ぎず、その責務を議会は果たすべきではないかと考えております。
本件は公益通報ではありませんが、その精神は共通する考え方であり、保健福祉局は告発者に対し厳しく対処するとの旨を表明されておりますが、これは公益通報者保護法に定められた通報者の保護の精神にそぐわない考え方であり、重大な発言であります。
これらを十二分に踏まえ、本件については適切な処理を求めるものであります。

さて、本題でありますが、その後の保健福祉局の質疑および委員会提出資料によりますと、警察が逮捕に至る事件直後の通報は虐待を疑うに十分値する通報であり、虐待を疑うべき通報が議会に報告された日時を遡ること4か月前前に通報があったという事実は保健福祉局も認めるところであります。これは虐待への初動対応に大きな瑕疵があると言わざるをえません。逆に虐待と捉えて対応したとすれば、事件はそのときからはじまり、当局が議会に報告している経過報告とは大きく食い違うわけであり、そういった経過を含め正確に議会に対し説明責任を果たすべきでありました。
同時に、既に教育福祉委員会に提出されている説明報告につきましては、疑義を私自身もっておりますが、これまでの委員会等の指摘を踏まえ、これ以上プライバシーの問題を公開の場で議論することは今後も含め適当でないと解し、これ以上の指摘は差し控えさせて頂きますが、今回の調査を進める中、他の関係者から「今回の一件は氷山の一角に過ぎない」といった声も寄せられ私は愕然と致しました。実態はそんなことはないと信じたいですが、これらに対処できるのは、行政以外になく、児童相談所の責務は誠に重いと言えます。二度とこのようなことが起こらぬよう、虐待の初動対応の再点検等の抜本的対応の見直しと児童福祉司の増員をはじめとした徹底した機能強化を強く要望しておきます。

最後に、歩くまち京都の推進におきましては、四条通り歩道拡幅事業に関して、京都党市会議員団で実施した市民の皆様へのアンケートを提出させて頂きました。市民の皆様から賛否のお声が多く寄せられていることを踏まえ、車道空間及び歩道空間の安全確保及び利便性の改善についての議論を継続し、柔軟な対応しながら、市民の皆様のご理解を得る努力を行って頂きたいと思います。

 以上で討論を終わります。ご清聴有り難う御座いました。

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