代表質問 江村理紗議員(2016年2月議会)
地域政党京都党、右京区選出の江村理紗です。会派を代表しまして、森かれん議員と共に平成28年度京都市予算に関して質疑を行います。
1.平成28年度予算について
さて、先日の京都市長選挙においては、門川大作京都市長が大差をつけ3期目のご当選を果たされました。
これまでの市政運営を市民が追認し、市政運営を門川市長に委ねた結果であります。投票率が大変低調であったということは誠に残念でありますが、京都党市会議員団と致しましては、この結果を重く受け止めると共に、引き続き納税者目線で議会のチェック機能を果たすべく、議会活動に取り組んで参る所存であります。
さて、それでは市長選挙後最初の予算編成にあたる京都市の28年度予算案について申し上げます。
冒頭に人口減少社会に立ち向かうことを掲げ、最優先に雇用をはじめとする経済政策を柱に、文化首都の構築など、私たちがこれまでから主張して参りました点がふんだんに盛り込まれており、これらにおいては目指すべき課題やビジョンが同じ方向性であると捉えております。しかし、財政課題に対する取り組みについては、将来のことを考えるとさらに一歩踏み込んで頂きたいところです。
第一に、これは毎年申し上げていることですが、特別な財源対策を繰り返し、公債償還基金の取り崩しを危険水域一杯まで、「まだ大丈夫、まだ大丈夫」と続けていることは、看過できない問題です。この点については容認できず、禁じ手はあくまで禁じ手として取り崩さない構えで臨んで頂きたいものであります。
第二に、財源不足を補うために、基金の取り崩しなど特別の財源対策をしておりますが、まず財源不足の認識を改めなければなりません。財源不足を少しでも減らすために、人件費をはじめとした様々な費用をカットされ、努力の跡を示されていることは重々承知致します。しかし、長きにわたり限られた財源の中で、複数の新規事業に着手される以上、何らかの予算が削られることは当然です。本来、財源不足とは、生活保護費や職員の人件費など行政として絶対に支払わねばならない義務的経費の支払いが滞ることで、その場合は緊急回避的に特別の財源対策をすべきです。しかし現状は、次々と新規事業に着手し、その結果、財源が不足している状況です。
このように、現在の行政運営は支出から考えておりますが、与えられた予算を基準にした予算編成にするよう求めます。その上で、改めて特別な財源対策について市長のお考えをお答えいただきたいと存じます。
2.公務員給料表の見直し
それでは次に、公務員給料表の見直しについて提案致します。今回、京都市職員給与条例等の一部を改正する条例の制定において、国に準じた給与制度の総合見直しの案が出ていますが、財政再建を進展させるためには、まず公務員給料の構造自体を抜本的に見直す必要があります。何故なら、現在の給料表は、職員が昇給・昇格を目指すうえでの意欲が非常に得られにくいものとなっているためです。
今回は市民の皆様もご覧いただいておりますので、公務員給与の仕組みについて説明致します。
公務員給与は1級の係員から8級の局長まで8階級に分かれ、さらに1級係員であれば1号給132,200円から最大号給である97号給では269,600円など、階級によっては100段階以上の号給に細かく分類されています。また、1級から2級と昇格する際は1級の時の給料を下回らない程度の2級の途中号給からまた昇給していく仕組みです。
それではこの給料表の実態を掘り下げて見てみることにしましょう。
図に示すことでまず目に入るのは、階級ごとに給料が右上がりにこそなっているものの、各級ごとの給料が相当重なっていることです。例えば係長と課長補佐では最高額の差額が16,400円、最低額の差額が21,300円と、なんと給料幅の78.2%が重複しています。さらに驚くべきことは、最大階級である局長の給料に、なんと主任の上限付近の給料が達しているということです。
では、なぜこれほどまでに給料が重複しているのでしょうか。それは、根強い年功序列の仕組みが敷かれているためです。
そこで年功序列がどのような状態で起こっているかを図で示しますと、例えば30代から定年までの職員が幅広く在籍する係長級ではこのようになっています。
この図を見れば、号給が上がるにつれて、30代後半から50代後半へと徐々に年齢が上がっていることが見て取れます。京都市職員の行政職給料は主任級でも課長級でも、毎年その階級内にて4号給上がる仕組みになっており、課長級以上のいわゆる管理職員に就かなくても、主任級で最大149号給、係長級で最大116号給と、同級内に所属しながら長きにわたって給料が上がり続けます。そのため、主任級でも年齢を重ねれば、最終的には局長級の給料にまで達することになります。
それでは、局長級と一部給料の重複があります主任級職員の給料支給状況を見ていきます。
この図は横軸が号給ごとの月給、縦軸がその月給を受け取る職員の数を表示したものです。赤い点線で囲っているところが、管理職員と月給が重複している部分です。つまり、317,300円以上は課長級給料と重複、350,100円以上は部長級、393,500円以上はなんと局長級の給料に匹敵します。しかも、主任級職員の最高額である394,800円を受け取る職員は突出して多い状況です。そもそも、地方公務員法第24条には、「職務給の原則」として、職員の給料は、その職務と責任に応ずるものでならないと定められていますが、京都市職員の給料支給状況はこの原則からかけ離れたものであります。
現行の京都市の給料体系では、課長や部長の重責をわざわざ担ってまで昇格することへの収入的還元が少ない状況です。同じ係長でも、年齢によっては月額に約15万円もの差が発生しますが、それに対し、係長から課長補佐になり責務が大幅に増えたとしても、最高月額は16,400円しか上がりません。それだけ職責以上に年功序列が給料に影響する仕組みになっているということです。
また、公務員給料が高いと言われる所以は、高齢層になるにつれ、民間企業であればいわゆる平社員にあたる主任級職員の給料でも、市民感覚からすれば一定の地位と重責の下、粉骨砕身の末にようやく手に入る高額なものであることが一つの大きな要因ではないでしょうか。先ほど示しました主任級の最高月額の職員の平均年収は781万6,000円となっています。民間感覚からすれば極めて安定した環境で管理職でない職員の方が、これほどの収入を得ることができる現実は驚くべきものです。ここに、市民感覚との乖離が生じてしまっております。
そのため、まず給料表の全体像として改善すべきは、給料額の階級をまたいでの重複の是正と係員から係長級までの職員の上限額の引き下げです。大阪市では「各級の最高の給料月額は、二階級上位の級の最低の給料月額を超えないよう努めるもの」と定められ、実際給料表に反映されています。
係長級までの給料の上限額を引き下げ、例えばその代わりに財源の一部は管理職員に妥当な範囲で配分することも有効であり、給料配分の最適化を図るべきです。職員数比率からして、1級の係員から4級の係長級までは全体の85%を占めていることから、私の述べました給料配分の最適化を実施しましても、総人件費は削られることになります。
以上のことから、給料体系の全体的な考え方として、給料額の階級をまたいでの重複の是正と係員から係長級までの職員の上限額の引き下げを実施した上で、職務給の原則に基づいた給料配分の最適化を行うべきではないでしょうか?市長のご所見をお聞かせください。
3.人事評価制度の給与反映と相対評価の導入
続いて、人事評価制度についても提案します。公務員給与の年功序列を見直すには、人事評価制度による、給与や昇任昇格への反映が必要となります。
京都市の人事評価制度に係る勤務実績の給与反映は、平成24年度より管理職員を対象としたもの、また翌年の平成25年度より課長補佐級以下の職員を対象としたものが設けられたことは望ましい取り組みであります。
しかしながら、課長補佐級以下の職員には減額方向の給与反映しかなく、50点前後を平均水準として、30点台の職員も60点台の成績優秀者も、評価には大差がついているものの給与反映にはつながっておりません。
公務員の人事改革というと、人材育成のために行うというお題目がよくいわれます。とくに、自治体では、人材育成という面を前面に出して人事評価を実施してきたので、後になって人事評価結果を給与へ反映させることには二の足を踏む実態もあるようです。しかし、本質的に考えると、人材育成自体が人事改革の目的ではなく、顧客である京都市民に質の高いサービスを供給することが人事改革の目的のはずです。そのため、いかなる人事制度が必要なのかが問われているのです。
昇任昇格に反映する人事評価制度にするためには、評価項目の事前開示やフィードバック面接の充実、産休で評価がマイナスにならないなどの配慮、上司からだけでなく部下からの評価も加えるなど、制度への信頼が大前提で、いくつか乗り越えるべき壁もあります。しかし、職員の意欲や能力、実績が正当に評価され、努力している職員が報われる環境にするためにも、昇給幅には差を設けるべきです。
具体的には、現在の毎年一律での4号給昇給を見直し、一年の昇給号級数を人事評価制度に応じて「昇給なし」から8号給昇給まで範囲を設けてはいかがでしょうか?昇給号級に差をつけることで、若手職員のモチベーションの維持や長期的キャリアを見据えた昇格意欲につながり、しいては低迷の続く係長能力認定試験の受験率向上につながると考えます。
また、そのためには限りある財源の分配であるため、相対評価の導入にも踏み込むべきです。既に横浜市や大阪市でも導入されておりますとおり、職員の頑張り度や成果に即した、絶対評価のうえで局横断的に評価者による差を調整し、相対評価区分の割合をA評価を5%、Bを20%、Cを60%、Dを10%、Eを5%といったおおよその比率を設け、相対評価結果に基づき、0~8号給の昇給を行うべきと考えますが、市長のご所見をお聞かせください。
地域政党京都党は、厳しい財政状況を踏まえ、職員給与においても、見直しを図るべきだと考えます。しかし、単なるコストカットを推進せよと言うつもりはありません。身を切る改革には限界があります。だからこそ、私たちの考える人事給与制度改革は、公務員のモチベーションを引き出し、そのことで市民サービスの向上をもたらし、併せて公務員給与の削減にも繋がることを描いています。相対評価には配分の難しい部署もありますが、処々の弊害ばかりに目を向けるより、相対評価の導入や人事評価制度の活用見直しによる効果の大きさに目を向け、どうすれば実現できるかの視点で向き合って頂きたいと思います。改革を恐れず、市民にとって納得を得られやすく、また頑張る職員にとっても待望となる給与制度の見直しを切望します。
以上で私の質問を終えます。ご清聴ありがとうございました。