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代表質問 森かれん議員(2016年2月議会)

地域政党京都党市会議員団を代表し、江村理紗議員に引き続き上京区選出の森かれんが質疑をいたします。私は平成27年4月に初めて議席を頂戴し、議員として初めて訪れた視察は地元翔鸞学区で実施された京都市初となる空き家条例に基づく代執行の現場でした。廃墟と化した空き家が解体されていく様子を目の当たりにし、「これ以上、空き家を増やしてはならない!」と感じて以来、特に空き家対策については独自に調査を重ね、他都市視察も行ってまいりました。

京都市は他都市に比べても空き家流通促進事業、耐震補強への助成・無料耐震診断などの取り組みにおいて、早くから危機意識をもって取り組んでおられます。しかし、空き家をなくす努力をしていても、次から次へと新たな空き家が誕生する今日において特効薬がないというのも一定事実であります。ただ、空き家も突然発生したわけではなく人口減少社会に突入し、世帯数よりも住宅数のほうが上回っているのにもかかわらず、住宅建設への投資こそ経済刺激になると新規住宅を奨励してきた結果によって生み出されたものであります。しかも、今空き家を抱えておられる方よりも、事態がさらに深刻化するのはその空き家が相続等によって次の世代の手にわたる時です。なぜなら、今ある空き家もすでに老朽危険家屋化しているものもありますが、多くの空き家は放置していてもすぐに近隣に迷惑をかけることはありません。しかし、いざ相続した家を活用・除却しようとする時になって、「今の状態では買い手がつかない」、「壊すと都合が悪い」という事態が発生し、問題がでるくらいならそのままにしておこうとさらに放置されることによって「空き家」の問題は加速をしていきます。つまり、「今が良ければすべて良い」という先送り思考が空き家を生み出す要因なのであり、空き家増加を食い止めるためには、過去に制定された法律や制度によって矛盾を生じている点に関して早急に対処すべきと考えます。地元で実際に空き家を保有している方や、空き家の両隣にお住まいの方から直接お話を聞かせていただくと、持ち主に「除却しなければならない」という認識があっても、「更地にすると固定資産税が上がって払えない」、「建築基準法の関係で再建築ができない」などの理由でそのまま放置せざるを得ないというお声を多数頂戴いたしました。

そこで市長に2点、お尋ねいたします。1点目は、固定資産税の住宅用地減免措置についてです。固定資産税の課税の根拠は、固定資産とその所在市町村の受益関係に着目して、所在市町村が課すものとされています。そして、土地については住宅用地として使用されている場合、住宅1戸当たり 200平方メートルまでの住宅用地については,課税標準の限度額を6分の1に、200平方メートルを超える部分については3分の1にするという軽減措置が講じられています。固定資産税は地方税でありますが、この措置は地方税法という法律で定められているため地方自治体が独自に見直すことはできません。住宅用地軽減措置が設定された当時とは社会を取り巻く環境が大きく変化しているにも関わらず制度だけが残っているのは甚だ疑問です。そこで徴税の現場を担う地方自治体から国に対して改めて住宅用地減免処置について見直し声を上げること、さらに空き家を除却した後の更地に関して、すぐに住宅用地の特例措置を適用しないとなると、納税者の負担が大きいため、負担軽減のために何らかの経過措置を国に要望してはいかがでしょうか。

2点目は、細街路における再建築不可の家屋についてであります。京都市では「建築基準法第43条第1項但し書き規定に基づく許可基準」あるいは「路地のある街並みを再生するための道路指定制度」を通じて今まで再建築不可であった幅員1.8メートル未満の家屋についても一定の条件を付加した上で建築審査会、住民の合意を取ることを前提に建て替え可能となりました。今まで建て替えができず老朽化が進む家屋をお持ち住民のみなさまにとって、京都市の細街路対策は大変心強い制度であります。しかし、京都市が優先的に防災対策を進める優先地区、11学区360ヘクタール分のエリアにおいては(パネルを出す)「1.5メートル未満の通路幅員に接する家屋」については再建築不可であります。この写真の道幅は私がメジャーで測ったときは1.48メートルでしたが、今回はイメージとして提示いたします。私が視察で訪れた東京都足立区では東京都が定める「特別区域」において通路幅員1.8メートル以上から1.2メートルにまで基準を緩和しており、実際に運用がされております。京都市においてもこの優先地区においては43条但し書き許可において通路幅員1.2メートル以上から建て替え可能にすることを検討していただきたいのですがいかがでしょうか?

また、これらの制度は複雑化して非常にわかりにくく、特に通路幅員が1.8メートル未満のぎりぎり軽自動車が通れる道に接する家に住んでおられる方にとって果たして自分の家が再建築可か不可なのかという判断は極めて困難です。さらに再建築の際のセットバック緩和の必要条件なども含め「43条ただし書き許可」と「道路指定制度」の違いを簡単にわかるように説明していただきたいのですがいかがでしょうか。さらに、空き家問題を解決していくために、市民新聞や広報物でこれらの制度の違いと活用方法を誰にでも伝わるように掲載し、この制度の必要性が高い場所においては概要版をポスティングするなどきめ細かく行政広報を徹底していただきたいのですがいかがでしょうか。

続いて、ロームシアター京都のコンセプトの実現について質問をさせていただきます。私は中学生の時から10年間、京都会館で開催されていた吹奏楽コンクール京都府予選大会に毎年出場しており、観客という立場だけでなく楽器奏者として長年京都会館を愛し、活動しておりました。その京都会館が2016年1月にロームシアター京都として、今まで上映が難しかったオペラをはじめ多くの演目をお客様に披露することができるようになったことは大変喜ばしいことあります。しかし、近隣都市にはびわ湖ホールや兵庫県立芸術文化センターなどの一流の劇場がすでに存在しており、ロームシアター京都のコンセプトである「劇場文化をつくる」においては、すでに既存のホールで育まれたお客様の奪い合いは避けなければなりません。「劇場文化をつくる」ということは、京都で新たな舞台芸術ファンを作り出し、劇場文化を一から築き上げることであり、演目の充実を図ることが必要です。劇場という「ハコ」をつくっただけでお終いでは京都の劇場文化が世界に発信される可能性は極めて低く、舞台芸術に携わるすべてのみなさまが劇場を通じて成長し、世界へ発信できる場所にしていくことがロームシアター京都にとって至上命題であります。

劇場運営をする上で舞台芸術が莫大な経費が掛かるわりに採算が取れない根本的課題を持つ事業であるということ念頭にいれなければなりません。なぜなら、ベートーベン交響曲第5番「運命」を演奏するためには、編成にもよりますが最低でも指揮者合わせて40名必要ですが、人件費がかかるからと言って勝手に奏者の数を減らすことができません。また、演奏時間に35分かかるという事実は曲が完成した200年前も現在も同じです。つまり、オペラやクラシック音楽は技術革新の恩恵を受けることができず、時間比例して経費が膨れ上がるという性質を持っており、技術進歩が進んでも大量生産をして単価を下げるという戦略がとりにくいということであります。すでに総工費約110億営費は前年度増の約1億4000万円と大胆な予算が計上されております。補助金ありきで劇場運営をするということは京都市の厳しい財政状況からさらに首を絞めることになります。劇場の収益は「貸館事業による収入」と「自主公演のチケット収入」で決まりますが、貸館事業を中心にすると、ロームシアター京都の独自性を演目に出しづらくなるだけではなく、メディアの発信力の強い大阪に隣接する京都にとっては劇場経営として不利な状況と考えられます。一方、オープニング事業のような自主事業においては市民ニーズや地域性に応じた演目を提供できるという特徴があります。自主事業はチケット収入が全てであるため、劇場の空席を限りなく0にしながら長期スパンでチケット収益を上げる取り組みが必要です。お客様が劇場や舞台に何を求めているのか、どんな舞台をみたいのかというマーケティングの徹底、舞台芸術に興味があっても時間や場所、価格の障壁があって劇場に行くことができなかった人たちに対してその障壁を取る動きを試みることで潜在的なニーズを掘り起こし、お客様のリピート率を上げ続けることが、チケット収益を上げることにつながり、その努力が「劇場文化をつくる」うえで重要な独自性のある演目を提供することに直結するのです。

ロームシアター京都では、バラエティーに富んだ幅広い演目を提供できるようにと芸術監督を設置しておりません。しかしどの分野にも対応できる反面、発信内容が総花的になりやすく、特にオープニング事業が終わってから、「ロームシアター京都といえばこれ!」という独自性を発揮できなければ、すでに関西にある劇場の中で埋没していく可能性も考えられます。実際に芸術監督を設置している兵庫県立芸術文化センターにおいては、2005年オープン当初約15万人の入場者数から年々自主公演数と入場者数を毎年増やし続け、「チケットが売り切れる劇場」というブランディングに成功し、2015年では約73万人、累計ですでに約450万人を突破しております。また、芸術監督を設置していても特定の分野に特化することはなく、ポップス、伝統芸能、演劇と幅広い演目を発信しておられますし、劇場としての独自性を発揮する自主事業を積極的に取り入れるためにも専門性の高い芸術監督を設置する必要があると考えますがいかがでしょうか。

次に、劇場におけるハードとソフトの連携についてお尋ねいたします。舞台芸術が盛んな欧米では、劇場につき1つないし2つ、専属の芸術団体を保有しているのが一般的です。京都市でも京都コンサートホールは京都市交響楽団とフランチャイズ契約が行われておりますが、このようなフランチャイズ契約の最大の利点は芸術団体にとっては同じ場所で安定的に練習できるため表現の質の向上につながる点、劇場側としても継続的な公演実施による地域での観客の開拓や文化教育に大きな力を発揮するというWinWinな関係が築けるところにあります。さらに、フランチャイズ契約は芸術団体の育成支援につながるため是非検討していただきたいのですがいかがでしょうか。以上で私の質疑を終えます。ご清聴ありがとうございました。

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