代表質問 村山祥栄議員(2016年9月議会)
※プライバシー保護の関係上写真は割愛させて頂きます。
地域政党京都党 村山祥栄です。京都党市会議員団を代表し、大津議員とともに質疑させて頂きます。
1、 市営住宅の利用について
27年度決算にあたり、市営住宅のあり方について質疑致します。
このたび、私は市営住宅の適正利用について、市営住宅の約一割強にあたる16団地2754戸をくまなく回り、一戸一戸居住実態を確認して回る現場調査を実施、市営住宅の現状をつぶさに見てきたことを踏まえ、問題提起と改善提案を行いたい。
① 新築未入居物件の在り方
写真1 錦林K1棟
まず、こちらの写真をご覧頂きたい。これは平成17年に竣工した市営住宅です。
まだまだ新築の雰囲気を残す民間マンションと遜色ないすっきりしたデザインです。
写真2 錦林K1玄関ポスト
こちらは、今ご覧頂いた市営住宅のその玄関ポストの写真です。ポストが閉じられている部屋が多数見られます。
この物件は総戸数38戸中、なんと16戸が空室になっています。随分人気がないんですね。というわけではなく、この住宅、京都市の一等地にありながら、現在入居者の募集を行っていないんです。それどころか、そのうち6戸は完成から10年以上経った今に至るまで、誰一人入居していない新築未入居物件です。中はこんな感じです。
写真3 錦林K1新築未入居室内写真
老朽化した古い市営住宅で空室なるのは理解できますが、新築で未入居というのはいかがなものか。現在、平成5年以降に建築された市営住宅で実に新築未入居物件が、昨年完成した40戸も含め、なんと77戸もございました。しかも、そのうちの大半は募集停止中です。色々と理由はあろうかと思いますが、入居希望をする生活困難者が増え続ける中、放置し続けたことは問題です。
例えば先ほどの住宅は、古い住宅から順次移す予定だそうだが、調整が先送りになり、気付けば十年空室のままになっているわけです。いかなる理由があろうとも、10年間空室だということこそが真実です。この新築未入居70戸だけ見ても、仮に家賃が5万として年間60万、これらののべ空室月数391ヶ月、2億3460万円の機会損失、いわゆる「稼ぎ損ね」が発生しています。
つまり、本来、スピーディーに、または何らかの手を打っておけば、行政が対応していれば、二億某という金額をこの部屋は稼ぎ出し、市の財政に納入させていたはずです。
あわせて、こちらをご覧頂きたい。
写真4 出町柳そば駐車場
これは、出町柳というターミナル駅徒歩3分の立地に存在する市営住宅用の空地です。空地になってかれこれ10年が経過しております。
写真5 出町柳そば除却用地
こちらも同じ出町柳駅徒歩一分の市営住宅除却跡地です。ここも次の計画が決まらないまま10年から放置されております。
使い方が決まらないなど理由があるのでしょうが、役所が悩んでいる間に機会損失はどんどん膨れ上がってまいります。少なくとも、それまでの間、例えばここ出町柳駅周辺では著しく不足している駐輪場、または時間貸し駐車場へ貸すなど、資産の有効活用にもっと心を砕いて頂きたいと思います。
行政は現物の損失には敏感ですが、非営利の行政はこうした機会損失という概念に大変無頓着です。しかし、これらの機会損失の穴埋めは市民の税金です。せっかくの新築物件が埃を被って十数年、完全な中古物件になっている現状を市民の皆さんはどうお感じになるでしょうか。 早急に、古い住宅からの移動、公募含め、ご対応を頂きたい。
② 募集停止住戸について
あわせて機会損失について申し述べます。現在京都市の市営住宅には入居希望者が列を成して待っていらっしゃいますが、一方で、解体予定などを除き実際使える空室が2000室余りあります。しかし、そのうち募集困難という理由で募集されていない物件が9月1日現在で1448室もあります。そのうち整備費用が200万円以上かかる物件なので整備が困難という理由で募集をしていない住戸が997戸、約1000件ございます。これらの中には街中の超人気物件なども含まれております。予算の関係もございますが、整備費用が掛かるので後回しという論理はいかがなものです。ニーズの高いところからどんどんやることが重要で、明日にも住むところに困っていらっしゃる市民に寄り添うなら、新たな市営住宅の建設や改築よりも、これらの住戸の募集を優先すべきではないでしょうか。
そもそも、原状回復に200万以上係るような大掛かりな工事が必要な物件がそれ程多いことにも問題を感じますし、経年劣化だけでそれだけの費用がかかるでしょうか。故意の過失によって発生した修繕費用は退去者にご負担頂けているのでしょうか。
写真5 空室住戸 室内写真
これは退去後の未改修の住戸内の写真ですが、見る限り畳替えと壁紙程度で十分次の方にお貸しできるように思います。
退去後の整備費用が通常でも130万円以上掛かるとのことですが、この金額が適正なのか、全面的に見直し、確認するべきです。
また、退去から募集までも最短で3ヶ月、場合によっては半年程度かかるものも多いようであります。スピーディーな対応を頂きたいと重ねて申し上げます。
市営住宅と税金と言う市民の資産をお預かりしておられる市長におかれましては、全面的に対応を見直して頂きますようお願いします。
③ 収入超過世帯対する問題について
次に市営住宅の適正利用についてです。市営住宅は、公営住宅法第一条に示されている通り、「国民生活の安定と社会福祉の増進を目的に低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸する」ものであります。入居時には厳しい所得の審査があります。
しかし、現在、市営住宅には月収64万円の世帯をはじめ、京都市が定めた入居基準の収入を超過している世帯がなんと1080世帯いらっしゃいます。そのうち、収入超過区分4にあたる25万9001円を越えるものが398世帯、うち月収31万円を超える高額所得世帯は47世帯です。(中には京都市の市職員が9世帯含まれています)
理由はどうあれ、収入が2年以上にわたり基準を超えている方が1000世帯入居し続け、生活困難者が1000世帯分入居できないという状況が起こっているということです。収入超過が認定され10年以上そのまま入居している世帯は127世帯に上り、
高額所得者の中には最長12年に渡って退去していない方もおられます。
早急に退去を頂くべきであります。収入超過者については、法的には明け渡し義務がなく、努力義務に留まるようですが、長期間にわたり収入超過しておられる方々は、既に行政のセーフティーネットから自立している方々です。現在、収入の超過者に対しては文書での通知と低廉な割増家賃を頂戴するだけの指導に留まっておりますが、積極的な行政の指導を求めると同時に、生活困難者を優先する本政策の本旨に基づき、法令整備も含め適切な改善を強く求めます。
④ 市営住宅の適正利用について
写真6・7・8 占有状態写真
こちらの写真をご覧ください。(占有写真)
これは、共有部分の占有です。あまり厳しいことを申し上げるつもりもありませんが、随分な惨状を今回の調査で確認しました。少し管理が杜撰だと感じますが、いかがでしょうか。市営住宅は市の財産であり、住民みなさんのものです。もう少ししっかりと適正な利用を頂きたいと思います。また、ペットの飼育も市営住宅は禁止ですが、随分飼育されている方は多いように思います。
写真9 (ペット)
こちらは、飼育が禁止されている市営住宅の建物内に掲示されているペット飼育の注意書きです。禁止しておきながら、この注意書きはどういうことでしょうか。これこそ黙認している動かぬ証拠です。住居者に対しての管理、指導はどうなっているのでしょうか。さらに、不適正な利用、目的外利用も同様です。
写真10・11複数住戸の疑い
複数所有が疑われる事案がいくつもありました。親子などのケースももちろんありますが、一方は電気メーターが動いていないなど入居実態が確認できないケースがいくつも見つかっております。もうひとつ見て頂きましょう。
写真12(会社の看板など)
こちらは住居に事業主としての看板が挙がっているものです。市営住宅は、身体障害者によるあんま業や個人タクシーなど自宅で営むことが許可されている個人営業など一部を除き、住居目的以外の使用は不正使用として明渡指導の対象です。
これらを総合し、市営住宅の管理についてはいささか杜撰という印象を受けます。管理の不行き届きは、住宅自体のイメージや質を低下させ、住民の生活環境を悪化させます。
市の共有財産の適正な利用に向け取り組んで頂きたいと存じます。ストック総合活用計画の事業の優先順位は耐震、スロープ、エレベーターとありますが、目の前のこういった問題の対処こそ最優先課題です。コスト捻出の課題もあろうかと思いますが、低所得者、高齢者比率が高まる中、すでにある物件も部分的に分譲することで、バランスよく所得層を配置し、なおかつそこで得た資金で隣接を整備するような手法も考えられます。とにかく、いたずらに時が流れるのを防ぎ、今出来ることをスピーディーに、丁寧適切に対応頂きますようお願い申し上げます。
2、 八条口一般乗降場について
さて、京都の玄関口京都駅では、南口、通称八条口の整備が着々と進んでおります。
京都党はかねてから八条口一般乗降場がプレオープンの段階から大変混雑している点について、まだ今日のように問題視される随分前、今年の4月、5月に、先んじて党として実地調査を行い、課題を指摘して参りました。
写真13 常態化した渋滞
このように大変危険な状態が発生しており、我々の調査中も、二重駐車やオーバーフローが多く確認され、ドライバー同士でのトラブルも発生するなど光景が散見された。
特に、日曜祝日を中心に混雑が常態化しており、今後益々の渋滞が慢性化する点について指摘をしてきました。委員会では問題点は認識しているものの、四条通りを例に、そのうち市民が使用を控えてくれるだろうというような楽観的な推測がされ、具体的な対策が採られていませんでした。
写真14障がい者スペースの占領
これは、障がい者の思いやりスペースが、一般乗降客に占拠されている写真だが、全く行っていいほどこれらも守られていない。
また、根源的要因は、そもそも、40台からあった一時駐車場が5台にまで縮小されていることに起因しています。他の全国の主要駅の場合、送迎場は数台ですが、新横浜を除き大型の整理場もしくは駐車場が併設されています。それが京都市にはありません。乳児、高齢者、障害者などの交通弱者、大きな荷物を持つ観光客やVIP、産業観光局が力を入れて誘致するラグジュアリー層が多い京都市として一定の配慮が必要です。
基礎自治体の施策は目的達成に向けた政策誘導と市民ニーズのバランスの上になりたつべきものです。本施策の車を減らし公共交通優先の街づくりという政策誘導の趣旨には賛同致しますが、余りに市民ニーズが追いやられている点に問題を感じます。
これまで我々は、
障がい者向け思いやりスペースの送迎場北側への移設
バイク駐輪場をヤード外へ移設し、有料VIP送迎場を確保
南側歩道に設置される観光バス一時避難所の一般車向け開放
などの改善提案を行って参りました。結果、アバンティー地下駐車場の無料開放や看板を増やすなどのソフト面での対応を頂いたことは一定評価しております。
しかし、これでは抜本的な問題解決にはなりません。今議会には大掛かりな八条口の工事の見直しに伴う工事契約の変更が提案されているにも関わらず、一般乗降場の渋滞解消策は盛り込まれていません。市長自ら現場に足を運び、是非現場の問題をご認識頂き、早急に対策案をご提示願いたい。