平成29年度決算賛成討論(2018年9月市会)
京都党市会議員団は、報第2号平成29年度京都市一般会計歳入歳出決算について認定するとの態度を表明しておりますので、会派を代表して討論を行います。
平成29年度については、いくつかの課題や論点を残しつつも重点政策4項目につきましては大きく前進したものと評価しております。
特に、雨に強いまちづくりとして11河川において都市河川整備等の浸水対策を進めたほか、大雨の際に雨水を取り込む雨水幹線の整備や、緊急道路等に面する斜面の防災対策、水道管、下水道管の更新・耐震化、学校体育館改築・リニューアルに取り組まれたことは評価をしております。本年は災害や台風などによって京都においても甚大な被害が出たものの、幸いにも亡くなられたかたがおられなかったことについては、厳しい財政状況においても、都市基盤整備に取り組まれた結果であると感じております。今後も引き続き、市民の命と財産を守る防災・耐震対策により一層取り組まれますようお願いいたします。
一方、文化観光政策重視の取り組みは、観光消費額の増加や宿泊客数増など一定効果が出ているものの、中心部の住宅価格の高騰や深刻なオフィス不足、交通渋滞、バスの混雑など様々な市民生活に支障が出てきています。特に、大学卒業後の就職に伴う流出と30代の新婚世代等の住宅購入伴う転出は深刻です。私たちは「お越しいただく」入洛客よりも、この街に暮らす住民の「住む」「働く」という住民のニーズにしっかり答えることが重要だと考えます。早期に街中のホテル建設に対し収束宣言を発し、中心部の規制緩和やオフィス不足に対応した施策の拡充が強く望まれます。
今回の決算議会の審議を踏まえ、今後の財政運営に関しての2点の指摘を致します。1点目は、特別の財源対策から脱却についてであります。京都党会派による今後の財政状況に対する質問の際、市長は「特別の財源対策の早期脱却は極めて困難である」と答弁され、京都市の京プランで掲げた「平成32年度に公債償還基金の取り崩しなどの特別の財源対策からの脱却」については事実上断念したということが明らかになりました。これは由々しきことであります。議会も、市民の皆様も厳しい財政状況の中、新規事業を次から次へと着手することについては、「平成32年度までに特別の財源対策から脱却できることを前提にしていた」からこそ容認してきたわけであります。けれども「早期脱却は極めて困難である」という発言は、そもそも平成29年度決算含めここ何年かの見通しが甘い結果、引き起こしたということを指摘をさせていただきます。2点目は、財政調整基金についてです。29年度中には大きな災害や大不況があったわけではないものの、財政調整基金に積み増しできなかった点については非常に残念であります。財政調整基金の残高は他の政令都市と比較して極端に少なく、硬直的な財政運営が余儀なくされているのはその通りでありますが、財政調整基金自体は国のルールに定められている通りに積み立てるものであるため、積み増しをすること以上に、これ以上取り崩さないことが肝要であります。
市長はよく、「厳しい財政状況にあっても縮み志向にならず未来への投資を積極的に行う」あるいは「京都の未来への展望を開くための事業は気を逃さず実行する必要あり、このような財政状況下で特別の財源対策から脱却することは決して容易ではない」と発言されておりますが、財源対策を行い続けることは、先送りになったツケによってさらに未来の人達が苦しめられるということでもあります。早期脱却が出来ないのではなく、早期脱却が出来るようにまず、ありとあらゆる支出を再点検し、新規事業につきましても精査されますよう改めて指摘いたします。
以上、2点の改善を求めまして、賛成討論と致します。ご清聴ありがとうございました。