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代表質問 江村理紗議員(2019年2月議会)

右京区選出の江村りさです。地域政党京都党市会議員団を代表しまして、村山議員と共に平成31年度京都市予算案について質疑をさせていただきます。

◆はじめに
 まずはじめに、私たち京都党は、京都のまちが30年先、50年先に、現在の子どもや孫の世代が快適な環境のなかで、魅力的な働く場所があり、子育てが安心で、幸せに歳を重ねていくことのできる街の姿を思い描いております。そこにはたくさんの子ども達が安全に育ち、公共交通が今よりもっと充実し、京都らしい文化的な街並みが残り、一方では都会的な賑わいと活気のある経済活動があり、そして充実した行政サービスが提供されている、そんな将来を見据えています。
しかしながら現状では我が国はすでに人口減少時代に入り、京都市においても今後30年、50年にわたってこのまちを支える世代の割合が減少し始めています。京都の奥深い魅力故に、やや年齢層の高い方から支持を得やすい街ではありますが、子育て世代が安心して快適に過ごせる条件を整えなければこの街の未来はないと危惧しております。

◆こどもみらい館こども元気ランドの増設
そこで、まず子育て世代が集まる街に向けてのご提案です。京都党はこれまでから財政面、人事面での厳しい改革を求めてきましたが、その中でも子育てについては例外的に更に積極的な政策を求めます。かねてより、京都党において人口減少の中でも特に京都市では若者や、子育て世代が流出していることへの問題意識をもっております。京都の大学に通う学生さんに是非京都で就職してもらうことも重要な課題です。そして、同僚の森かれん議員と共に、女性議員による座談会も市内のカフェで何度も開催し、若い女性の方の市政へのご意見を積極的に伺う活動に力を注いできました。その中で、子育て世代の方々からのご意見として特に多かったのが乳幼児の遊ぶ場所の不足でした。乳幼児は特に転倒・転落の危険もあるため、一般的な公園で遊ばせるより室内での遊び場を求める声が多いのですが、市内ではこどもみらい館が中京区にあるのと、あとは伏見区や南区などに民間施設としてあるのみで、滋賀や大阪、亀岡など市外に遊びに連れて行かれているケースが少なくないようです。こどもみらい館が開設され20年、この施設に対する子育て世代の認知度は非常に高く、市内の至る所で「もっと生活圏内にこどもみらい館のような遊び場があるといいのに」「こどもみらい館の周辺だけ羨ましい」とのお声がよく聞かれます。民間施設の遊び場自体も少ないのですが、やはりこういった遊び場はいつでも気軽に連れていけることに価値があり、そのため無料で遊べる施設を用意することが強く望まれます。また、こども元気ランドで実施されているように、子育て相談などにも対応することで、子育ての孤立化解消や不安軽減にも繋がります。そういった意味で、行政が実施する意味は非常に大きいと考えます。
こどもが遊べる場というのは、子育て環境の魅力度を図るうえで、大きなバロメーターとして捉えられており、今後京都市でせめて各行政区・支所に1カ所の乳幼児の室内遊び場を増設し、子育て環境を充実させてはいかがでしょうか?是非、こういったことこそ京都の投資と考えて頂き前向きなご答弁を求めたいと思います。

さて、こうした京都の未来のために今必要な施策を行いますといつも財政事情という壁が立ちはだかります。そこで次にその本市財政のあり方について提案させて頂きます。

◆京都市財政
平成31年度予算は平成30年度の相次ぐ自然災害の復旧対策が求められる中で、被災木の伐採や撤去、さらにはかねてより求めて参りました、災害時の福祉避難において、今回単身の重度障害者を対象にした個別避難計画のモデル事業を計画されるなど、細かな部分にも予算をつけられており、大変望ましいものです。また、増加する救急需要に対応すべく、救急車を呼ぶ前に医師へ相談ができる#7119の導入や、市民生活と観光との調和を図るための交通対策についても、ご期待申し上げます。
昨今SDGsが注目される中、今回持続可能都市として京都市が政令指定都市1位となったことは大変名誉であり、喜ばしいことです。しかし、持続可能都市となるには、財政面での安心感も欠かせません。その中、京都市の予算段階の財源不足は128億円。事業の見直しや基金の取崩しなどで収支不足の改善に努められたとはいえ、大変な額です。市バス事業においても、昨年12月時点で10年間で100億円の累積赤字となる見通しが新聞紙上でも取り上げられ、市民の方からは驚きと不安のお声があがっています。特別の財源対策に頼る財政運営は、平成32年度、つまり再来年度には脱却が本当に成し遂げられるのかは大いに疑問です。

―各局による分類作業
 まず、行財政局はこの予算編成を見ていても、財政的危機感を持って縮減に奮闘なさっていることが感じられます。ただ残念なことに、そもそも各局の概算要求を積み上げた額が高すぎて、これでは対応しようがありません。これを見る限り、要求を挙げる各局が、財政非常事態宣言下の自治体であるという自覚に欠けると言わざるを得ません。本当に借金してでも今やるべきなのか、子どもたちに将来莫大な負担を押し付けてでも今やるべきなのかを、前例踏襲の流れの中でいまいち精査しきれずに、やりたい事業を挙げてきておられるようにしか、残念ながら見えないのです。今一度、全庁的に行財政局が共有している危機意識を広めてもらうような取り組みをせねばなりません。
例えば、筆頭局の環境政策局を例に挙げるならば、ゴミ収集業務は民間に委託するかどうかは別として京都市が絶対にやらなければいけないサービスであり、また、それに合わせたリサイクル推進やゴミの分別の啓発、不法投棄対策などは、厳しい予算の中でもなんとかやった方がよいものです。しかし、次世代自動車の普及促進事業や省エネ支援においては、やや優先度は下がり、むしろ国が主導して行うべきものであり、京都市としてはできればやった方がよい事業と言えます。このように、局内で大命題としてなすべきことから、補完的なものまで、必ず濃淡があるはずで、そこをまず分類して絶対条件から遠い事業に関してはより一層の精査をしていくべきです。このように、概算要求を出す前に局ごとに京都市として取り組む必要性や優先度に応じた厳密な精査をし、その努力が議会にも見える形で予算提示を行っていただくことを強く求めます。いかがですか、お答えください。

―分配式予算の導入
だからこそ、これまでのような積み上げ要求型の予算編成を変えて分配式の予算方式を導入することも必要です。「入るを量りて出ずるを制す」。収入の額を計算し、それによって支出を計算するという発想の転換が求められます。現在の各局から予算要求を挙げる積み上げ式では、次年度の予算確保のために各事業で予算を使い切る風土からは体質的に抜け出せません。そのため、必然的に毎年予算が膨張してしまいます。将来への投資はいつの時代も必要とはいえ、それは収入に見合う範囲でやりくりをしながらなすべきなのです。全国的にも、政令市の財政状況は厳しいものですが、その中でも特に将来負担比率が高く、厳しい財政状況である京都市であるからこそ、大きな決断による予算方式の転換を求めたいと思います。市長のご所見をお聞かせください。

―SIB方式の積極的活用

また、補助金の使い方も新たな手法に切り替えていくべきです。例えば福祉系にかける補助金は、業務に対して補助金が交付され、成果が出たかどうかはほとんど問われていません。京都市は他都市以上に福祉予算の割合が高く、充実している一方財政を逼迫させている一因でもあります。だからこそ、より生きたお金の使い方を追求すべきで、この補助金においても、目的が達成されたか否かによって支払いが変動する成果報酬型の仕組を取り入れるべきです。例えば、八王子市では市民の健康寿命の延伸と、ひいては医療費の適正化も期待し、大腸がん検診の受診勧奨を社会的インパクト投資、すなわちSIB方式によって実施されています。これは、行政サービスをNPOや社会的事業者に委託し、民間の資金提供者から調達した資金を基に事業を行い、予め設定した成果目標を達成した場合にのみ、行政から資金提供者に報酬が支払われる仕組みです。
例えば来年度取り組まれる認知症予防といった、予防的な取り組みによってコスト削減効果の変動が想定されるものなどにもSIBは効果的とされています。本市でもこうした新しい取り組みを進めることで効果が期待できると思います。市長のお考えをお聞かせください。

◆人事・給与制度改革
さて、門川市長になられてから、職員削減を行われていることは度々うたわれ、今回の収支不足の調整にも人件費の削減が行われたご努力は大変なものだと思います。ただ、もうすでに本市財政は人件費削減において人員削減だけで対応していくには追い付かない状況にまで達しております。前々からご提案しております給与制度の改革にも着手すべきです。これまでに実施されてきたような、一律で給与を下げるといった方法ではなく、給与表そのものの見直しを求めます。すなわち管理職と非管理職にはそもそも給料上限にもっと差を設けるべきで、民間企業であれば平社員と言える主任級の最高月額の職員の平均年収が780万円に達するのはまさに民間感覚から乖離しています。そのほか、民間事業者より給与が低いとして数年連続で公務員給与が上がることも到底市民の皆さんの肌感覚には合わないものです。これは現行の人事委員会勧告制度では大規模事業所のみをその比較の対象としており、京都市の経済を支えている数多くの地域企業との比較を行っていないことによるものです。そこで、京都市職員の非管理職である課長補佐級までの職員の最高月額の見直すこと、及び人事評価の給与への更なる反映、そして、人事委員会勧告においては京都市の地域企業との比較を主眼に置き、実施していただきたいと思います。改めてここで申し上げますが、私たち京都市は財政非常事態宣言下の自治体です。これらの人事・給与制度改革のなお一層のお取り組みを是非期待しておりますが、ご所見をお聞かせください。

行政サービスは、必ずしも採算性を図れるものばかりではありません。だからといって、トータルで見た際には自治体として当然経営意識は不可欠です。京都市の健全な自治体経営を求め、私の代表質問と致します。

ご清聴ありがとうございました。

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