平成30年度予算編成賛成討論(2019年9月市会)
地域政党京都党・無所属市会議員団は、報第1号平成30年度京都市一般会計歳入歳出決算について認定するとの態度を表明しておりますので、会派を代表して討論を行います。
平成30年度は、何よりも相次ぐ自然災害に見舞われた1年でございました。そんな中でも京都市民の尊い人命が失われなかったことは、何よりであり、市長をはじめ全職員のこれまでの取組みに敬意を払いたいと思います。また、災害後の復旧・復興に対しても補正予算を迅速に組み、被災者に寄り添った対応をされましたこともあわせて高く評価しております。
また、増え続ける保育ニーズ・学童保育ニーズの中で、待機児童ゼロを続けておられることは、全国的にみても先進的な状況であります。また「新しい定時制高校」の整備に関しても、街の宝である子ども達に学びなおしの機会を提供できる素晴らしい取組みです。これらの取組みも大変高く評価しております。児童相談所の機能の充実、病児保育の拡充、学童保育機能のない学区への対策、一部のモデル校とモデル校以外の格差是正、などの課題にもしっかり取り組んでいただくよう引き続きお願い致します。
その上で、今後の市政運営に関しての3点の指摘を致します。
1点目は、一昨日より報道等を賑わしている広報の在り方についてです。一連の吉本興業の芸能人によるツイッターでの広報は、識者やネットユーザー、一般市民からステルスマーケティングではないかという指摘や、高額すぎるのではないかという指摘が相次いでおります。当局は、「誤認をさせるような内容ではないのでステルスマーケティングにはあたらず、問題ない」の一点張りですが、広告であることを隠した宣伝行為全般をステルスマーケティングとするのが一般的であり、だからこそ、これだけ多くの批判や指摘がされているということを重く受け止めて頂きたいと考えます。また、金額に関しても、例えば、ふるさと納税のリンクを貼っていたわけですが、このツイッター経由のもの以外も含めた全て閲覧数でも一番効果が出るであろう当日と翌日の2日間でわずか105件しかなく、とても効果に見合った広告費とは思えません。当局は、フォロワー数が多いので金額的に妥当と言っておりますが、本市にとっての効果が値段に見合うのかが肝要です。
昨今、京都市の広報で言えば、わかりやすく興味をひく内容になった市民しんぶんを筆頭にひと昔の行政広報に比べると大変良くなっていると感じます。一方で、インターネットの広報を中心に年々複雑化しており、専門家でないとなかなか使いこなせない状況です。わからないまま広告代理店の提案を鵜呑みにし、費用対効果の合わない支出をするようなことにならないよう行政側の担当者の専門性を高める取り組みも求めておきます。
2点目は、観光政策についてです。「京都観光振興計画2020+1」で上方修正した観光消費額1兆3,000億円の目標も、更に1年前倒しで達成した他、宿泊数も過去最高を更新するなど、大きく成果の出た1年間でした。一方、代表質問や委員会質疑でも指摘したように、「京都に行っても混んでいて楽しめない」というイメージが定着しつつあり、国内観光客がこの3年間で732万人も減少してしまったことは、早急に対策を打たなければなりません。「時期」「時間」「場所」の分散化に積極的に取り組んで頂いていることは、大いに賛同しております。一方で、その成果として、月別の繁閑差が平成15年と比べると劇的に改善したことを繰り返しアピールされておりました。それ自体は、素晴らしい取組みであったと思いますが、今求められているのは、観光公害とまで言われ、観光客の受け入れに支障が出始めたこの2~3年の間に分散化の効果がでているのかということです。局別質疑で改めて確認したところ、結果として集中の進行が早く分散化の効果が追いついていないことが答弁からわかりました。成果ばかりアピールするのではなく、何がうまくいってないのかということも包み隠さず説明いただくように求めておきます。また、分散化の取組みを早急に増強していただくとともに、市長自身も繰り返し仰っていました通り、混雑は一部の地域で、ゆっくりと観光できる魅力的なスポットも多くあることを積極的に発信して頂きたくよう改めて要望致しますと同時に、昨今はSNS等の影響で分散化を推進した新しいスポットにも爆発的に観光客が押し寄せるということが起こり得ますので、各地の受入環境整備にも力を注いでいただくよう要望致します。
また、観光公害という言葉を京都市ではおさけになっているようで、各会派からも観光公害という言葉はよろしくないというような論調がみられましたが、実は「観光公害」という言葉は、昭和46年の「10年後の京都の観光ビジョン」にはすでに「観光公害」という言葉が登場し、その翌々年、「マイカー観光拒否宣言」につながっています。まずは観光公害が発生しているこの現実を受け止めることこそが、次の一手につながることも申し添えておきます。
3点目は、毎年指摘をさせて頂いておりますが、財政についてです。「はばたけ未来へ!京プラン」で約束をされた「特別の財源対策からの脱却」に関しては半ばあきらめとも取れる発言がたくさんございました。平成30年度決算も昨年に続き、過去最大となる113億円の特別の財源対策が行われました。市長も財政再建に関しては、行財政改革をすすめられておられるわけですが、残念ながら「何が何でも財政を正常化しないといけない」という気迫や覚悟を感じません。市長は折に触れ、「縮小一辺倒にならない」「縮み思考にならない」と仰い、我が会派が「縮み志向」であるかのような発言が目立ちます。しかし、我が会派も決して「縮み志向」ではなく、投資すべきところは投資すべきと提案して参りました。しかし、それは禁じ手とお認めなっている特別の財源対策に頼らない範囲で行われるべきでございます。それを「縮み志向」と言うのは、現実から目を反らした無責任な発言であります。優先順位をつけること、選択と集中をしっかり行うこと、をこれまで以上にシビアに行っていただく必要があると考えております。京プランの前後期を取り組んできた結果、財政再建の道筋をつけることができなかったということは厳然たる事実であり、その反省にたって、大いに見直しを行っていただくように指摘致します。
今回は決算の審議ですので、予算に計上された項目が適切に執行されたという意味で認定は致します。しかし、財政再建に関しては、極めて難航しており、我が会派としては承服しかねる内容であることを改めて申し添えます。
市長総括の席において、門川市長が一番やりきれなかったこと、12年の反省に財政健全化を挙げられました。課題を正しく認識さえしていれば解決に向けた方策は必ずあるはずであります。以後、同じような反省を市長にさせないよう庁内一丸となって健全財政に邁進していただく事を強く期待したいと思います。
以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。