代表質問 小山田春樹議員(2020年2月議会)
右京区選出の小山田春樹でございます。江村理紗議員に続き、神谷修平議員と共に、京都党市会議員団を代表して質問いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。門川市長におかれましては、4期目ご就任おめでとございます。
1、市の財政状況とその対策について
さて、私はまず最初に、京都市の深刻な財政状況と市の取り組みについて質問させていただきます。先の市長選挙におきまして、市の財政再建の課題は大きく取り上げられ争点の一つとなりました。令和2年度当初予算編成の時点で、およそ300億円の収支の不足があります。どのような政治的立場に立つにせよ、この事実は厳然たるものです。そこで、この厳しい現実を直視して、危機感を持って予算編成を行うべきだと考えますが、市長は本市の財政状況について、今の時点でどのように評価されていらっしゃいますでしょうか?また、財政状況が悪化した基本的な原因は何であるとお考えでしょうか?まずは、現状に対する基本認識をお伺いいたします。
先に示されました令和2年度当初予算案の概要によりますと、予算編成の基本姿勢と政策の柱が示され、子育て支援、教育環境の充実、防災、環境、地域経済の発展、文化を重視した都市造りなど、門川市政4期目初年度として、これまでの市政総仕上げというべき方針が打ち出されています。一方、財政再建については、5番目の政策として掲げられ、令和元年度2月補正で財政調整基金が枯渇し、公債償還基金を当初予算に比べて22億円追加で取り崩したこと。令和2年度は一般財源収入が82億円減少し、この10年で最大の下げ幅になったことなど、厳しい財政状況が示されています。
そこで問題になるのが、財源対策であります。市は、令和2年度の特別の財源対策として、行政改革推進債の発行51億円、調整債の発行23億円、公債償還基金の取り崩し119億円、合わせて193億円を見込んでいます。これは、新たに借金を作り、返すべきお金を取り崩していくという方針であり、令和2年度末の公債償還基金残高は1355億円となってしまい、あるべき残高の3分の1を取り崩すという、とんでもない事態を想定していることになります。早急に抜本的な対策を講じなければ、市の財政は危機的な状況を迎えてしまいます。市長は、今後税収を増やすために、具体的にどのような施策をお考えなのでしょうか?新税の導入など今後の検討事項を含めて、基本的なお考えをお聞かせください。
私は、財政危機を打開するには、収入を増やし、支出を減らすしかないと考えます。これは、民間企業、一般のご家庭でも基本は同じだと思います。収入が増える見通しが立たないなら、収入に見合った支出にする。収入の範囲内で予算を立てるというのが当たり前のやり方なのです。市長は「縮み志向にならない。縮小一辺倒にしない」とよくおっしゃいますが、厳しい現実を直視して予算編成に取り組んでいただきたいと切にお願いいたします。収入を超える予算を組み、足りない分は借金すればいいとの考えはただちに改め、特別の財源対策を行わないで予算を組むという配分方式を取るよう考えますが、市長のお考えをお聞かせください。
本年度当初予算案の概要では、新規140事業、充実36事業が計上されていますが、300億円の収支不足がある現状で、さらに収支バランスの悪化を招くことは必至です。ゼロベースで支出を見直し、費用対効果の低い支出、緊急性の無い支出を大幅にカットしてスリムな予算にすることを求めますが、市長の見解をお聞かせください。
例えば、市の広報については、総合的な見直しを行い、編集から配布まで可能な限り民間業者へ委託すると共に、NHK、民放、地域コミュニティFM放送局、インターネットを活用するなど、紙媒体中心主義からの脱却を図ることを提言いたします。また、各種補助金についての総点検、職員給与体系、昇格制度の改革を検討していくことを求めます。やる気のある有能な職員が能力を発揮できるように、思い切った制度の改革が必要だと思います。民間企業出身者による人事・研修制度の再検討を行うよう提言いたしますがいかがでしょうか?
徹底した行財政改革を推進して、財政の健全化を実現するためには、民間企業の経営者の発想と知恵に大いに学ぶべきだと思います。大胆に発想の転換を図り、市政改革にあたってさらなる民営化を進めていくことを強く求めますが答弁を求めます。
2、京都駅前地域の再開発と市立芸大移転について
次に、「京都駅東部エリア活性化将来構想」、分かりやすく言えば、京都駅東部エリアの再開発と市立芸術大学移転問題について質問いたします。先の市長選挙の争点にもなりました京都市立芸術大学の京都駅東部エリア、崇仁地区への移転問題は、民意を踏まえて様々な視点から総合的に判断すべきと考えます。私たちは、市長選挙の結果、多くの市民が市立芸大の移転を受け入れたと判断しております。そこで、特に重視すべき課題は、交通至便で東京、大阪、名古屋をはじめ他都市からアクセスの良い京都駅東部エリアの開発をどのように進めるかであると思います。市長はスタートアップ支援拠点の設置を発表していますが、さらに地域経済活性化につながるようにすべきだと考えます。京都駅東部エリアにオフィスビルなどを建設して、総合インテリジェントスポットとしての開発を民間企業と共に推進することを提言いたします。市長のお考えをお聞かせください。その際に、建物の高さ制限、看板への規制も柔軟に緩和すべきだと考えますが、如何でしょうか?
そして、市の財政状況が極めて厳しい中で、移転の経費をどう捻出していくかも重要な課題です。市長が移転費用を寄付金に期待する考えをお持ちだとすれば、寄付金は現在いくら集まっているのか、今後増える見通しがあるのかなど、しっかり検証すべきだと思います。また、西京区のキャンパス跡地の有効活用についても、地域住民が不安を感じないように住民の声を聴いて検討すべきだと思います。
財政再建を実現するには、市の税収増が極めて重要な課題になります。民間企業の力で、積極的に京都経済の活性化を図っていくべきであり、文化都市であると同時に経済都市として京都市が栄えていくことがとても重要だと思います。世界一の文化都市として京都市と並び立つパリ市は、経済都市として大きな成果を上げており、大いに見習うべきです。市の税収を増やすためには、今こそ「稼ぐ街京都」を創らなくてはいけません。
3、市の交通政策、洛西ニュータウンへのアクセス改善について
さて、先の市長選では、京都市の交通問題が争点の一つになりました。観光と市民生活の調和は大きな課題です。とりわけ、通勤、通学、買い物など市民の日常生活の手段としての公共交通機関の充実は、財政状況が厳しい中でも、早急に取り組まなくてはならない課題です。
私たち京都党市会議員団は、これまでにBRT、LRT、新交通システムの導入など、具体的な提言をして参りました。また、市長選挙において、私たちが応援した村山祥栄候補は、市バスを通勤・通学路線と観光路線で分けて整備すること。市営地下鉄の利用促進のため、市バスから地下鉄への乗り入れを無料にすることなどの、具体的な政策提言を行いました。財源には、宿泊税の収入を充てるという構想です。また、洛西ニュータウンへの交通アクセス改善のために、路面電車とバスの良い面を合わせたBRTの導入を提案しました。市の財政状況が厳しい中では、建設コストが高くない方式が必須条件となります。市長は、こうした具体的な提言について、どうお考えでしょうか?党派を超えて、これこそオール京都で取りくんでいくことが必要だと思いますが、如何でしょうか?
市長は、選挙中に地下鉄東西線の洛西ニュータウンへの延伸を主張されましたが、今もその構想を実現しようとお考えでしょうか?その場合、建設費用はどのくらいかかると計算しているのでしょうか?市長が初当選されて就任された当時、市営地下鉄の赤字で非常に苦労されたと伺いましたが、東西線の延伸は莫大な費用と長い工期を要することから新たな大幅赤字を生むことは充分予想されますが、それでもこの構想を実現しようとお考えでしょうか?建設、運用コストの低いBRTの導入をはじめ、様々な方策を総合的に検討されては如何でしょうか?
4、民間企業と共に進める市の給付型奨学金制度実現を
最後に、京都市独自の給付型奨学金を民間企業と一体となって実現して欲しいとお願いいたします。私はよく西院駅前で街頭演説をします。近くに立命館大学行きのバス乗り場があるので、学生がよく通ります。先日、4回生でもうすぐ卒業だという学生と対話しました。「就職も決まりやれやれなんですが、社会に出ると早速奨学金を返さなくてはいけないので、気が重いです。月10万円を4年間借りて、利子を入れると500万円返さなくてはいけないのです」
私は、これを聴いて、これは政治の力で何とかしなくてはいけないなと思いました。
大学の授業料は、とても高くなってしまいました。卒業するまでに必要な学費は私立大学で400万円から500万円、国公立大学でもおよそ240万円かかります。
私は、昨年春の市会議員選挙で、市独自の給付型奨学金制度の実現を訴えました。利子を付けてお金を貸す奨学金制度は一種の教育ローンであり、奨学金の本来の目的である教育の機会均等、無償化とはほど遠い制度です。幸い、給付型奨学金制度は、国の政策として大きく前進しており、低所得者に対する奨学金制度は次第に拡充する方向だと思います。では、京都市は何をすべきなのでしょうか?今は京都市内の大学で学んでいても、将来、京都市で働かない人、学ばない人に対しても、市が給付型奨学金の予算を付けることは、市民の理解が得られません。ですから、将来市内で就職する人、市内の大学院などに進学して研究する人に対象を限定することが必要です。また、市の財政状況を考えると、多額の予算を付けることは出来ません。そこで、私は、民間企業の力で給付型奨学金を少しずつ拡充していくことが現実的だと考えます。美術館、競技場のネーミングライツで企業のイメージを高めるのもいいですが、それだけでなく企業名を付けた給付型奨学金を創設していただきたいと考えます。企業の経営者のみなさんに是非お願いしたいです。それは、優秀な人材を確保していくためにも有意義な取り組みだといえます。
まずは、市が民間企業にお手本を示す形で、成績優秀者に対する給付型奨学金制度を実施していただくようにお願いいたします。例えば、年間100名を対象に、自宅から通学する者に年間40万円、下宿して通学する者に年間80万円給付すると、初年度に年間6000万円程度、4回生まで対象が拡がる4年後に2億4000万円の予算が必要になりますが、市の年間予算のおよそ0.03%です。これくらいの予算は無駄な支出を削れば確保出来ると思います。まずは、やってみることです。市が率先して給付型奨学金制度を実現すれば、民間企業も参加しやすくなります。
1人でも多くの若い優秀な人材が京都市に住み続けて活躍していただくためにも、是非実現して欲しいと思います。市長のお考えをお聞かせください。
5、私たちの基本的な考え方
私たち京都党市会議員団は、徹底した行財政改革を推進して、市の財政再建を実現していく政策を提言しております。将来に借金のつけを残さない、最終的に起債ゼロの健全な財政を実現することは、次の世代への責務だと考えています。行財政改革は、市民一人ひとりの生活を応援する政策、子育て支援、子どもやお年寄りを大切にする街づくりなどに必要な財源を確保するために行うものです。子どもの医療費無料化を中学3年生まで拡大し、中学生に全員制給食を実施する政策は、財源をつくる努力をしながら実現していきます。私たちは、財源の裏付けの無い無責任なばらまき政策には与しません。私たち京都党は、基本的に小さな政府論に立っていますが、教育・福祉などを軽視する緊縮財政論者ではありません。みなさまに京都党の政策へのご理解をお願いして、私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。