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代表質問 神谷修平議員(2021年5月議会)

下京区選出の神谷修平です。地域政党京都党市会議員団を代表して質問いたします。

まず冒頭に、新型コロナウイルス感染症と最前線で向き合っておられます医療従事者の皆様、保健所関係者の皆様、そして自粛や感染対策にご協力をいただいております市民の皆様に心より感謝申し上げます。

新型コロナウイルス感染症が発生してから1年以上経っているにもかかわらず、
・PCR検査のコールセンターには電話がつながらない、
・検査もなかなか受けられない、
・入院できず自宅療養を余儀なくされる、
・ニュースでは職員が過労死ラインを超えていると報道され、1900時間を超える残業をしている。
こういう状況が去年の今なら、まだ考えられます。しかし、現実は、1年以上経った今もなお続いています。このような状況は、行政として何としてでも早く解決していかなければなりません。そういった思いを持って、質問に入らせていただきます。


◆新型コロナ・検査の拡充とワクチンの接種順位について

まず、検査の拡充とワクチンの接種順位についてお聞きいたします。

高齢者以外の方々へワクチンが接種されるのはまだ先のことです。接種が完了するまでは、検査により未然に感染拡大を防ぐことが、非常に重要であります。本市では、変異株への対策強化として、PCR検査対象の拡大、濃厚接触者の範囲の拡大などが実施されております。この対策は有効だと考えますが、まだまだ基準が曖昧であり、市民の方々からすれば、よくわからない、というのが本音です。検査や濃厚接触者の基準に関しては市民の皆様から未だに問い合わせが多い状況です。本市として市民の方々が納得され、安心されるような分かりやすい客観的な基準を設け、積極的に検査を行っていくべきと考えますが、本市のご見解をお聞かせください。

さらに、検査に関わってくる保健所業務のひっ迫についてですが、すべては十分な人員の確保ができていないこと、適正な配置ができていないことが問題なのです。ある程度長期化することは、3月の段階には見えていたことです。だとすれば、保健所に対する人員配置を大幅に今年度は加配をするなど、フレキシブルな人員の配置を整備するべきではないでしょうか。こちらも是非とも早急に検査の拡充と共に取り組んでいただきたいと思います。

また、本市では、高齢者施設でのクラスター発生件数や、重症化リスクを考慮して高齢者施設の職員の方々に、週1回のPCR検査をまん延防止等重点措置から緊急事態措置の期間実施しております。しかし、学校や幼稚園、保育園でもクラスターが増加していることから、今後は検査を国の要請以上に実施していくべきと考えます。

そして、ワクチンの接種順位に関しても、感染状況を分析し、今後は見直しも検討していただきたいと思います。変異株の拡大により、学校や保育園などでの感染が広まるなど、クラスター発生状況も変わってきております。急なキャンセルが発生した場合の、余ったワクチンを接種するリストの中に教職員の方も加えられており、一部の方は早く接種されますが、子供たちの安心安全のため、学校や保育園の休業を防ぐためにも、現在国でも検討されている学校の教職員や、児童館の職員、保育士の方々のワクチン接種順位は今後柔軟に、感染状況を見極めた上で見直していくことは、クラスター対策として効果的であると考えますが、いかがでしょうか。併せて、ワクチン接種に関しては、『寝屋川モデル』というものが話題に上っております。(図1)これは、ワクチンの供給量によって、自分の順番を「見える化」することにより、市民の「いつ受けられるのか?」「ワクチンは今どれだけあるのか?」といった不安を解消するものとなっています。本市でも参考にし、市民の方々へ分かりやすく安心できるワクチンの情報発信に努めていただきたいところですが、いかがでしょうか。


◆ワクチンの接種体制について

次に、ワクチンの接種体制について伺います。
かかりつけ医での予約開始当初、「30分間電話がつながらなかった」など、多くの市民から様々な声が上がり、混乱が起こりました。公表されている医療機関には、電話や来所による申し込みが殺到し、通常業務への支障もあり、公表を見合わせる医療機関が相次ぎました。本市としてサポート体制がしっかりできていなかったことが原因と言わざるを得ません。現状のやり方では、対象が高齢者の約倍である80万人以上の一般の方々への接種が始まった際には、更に混乱した状況となることが推察されます。

また、今後、一般の方への接種が開始される時期には、集団接種を主軸にするという方針に考え直してもいいのではないでしょうか。高齢者や基礎疾患のある方は、普段から受診されているかかりつけ医での個別接種が安心につながりますが、世代によっては、かかりつけ医がいないという方も多くいらっしゃいます。この場合、接種される方も、医療機関側も、初診ということであれば様々な手続きが増え、双方にとって負担となりかねません。少し拡充されますが、まだまだ限定的である集団接種会場での接種の、時間、日数、場所の更なる拡充をし、対応していくことが必要です。こういった方針転換も含め、今後医療従事者の方々への負担をできる限り軽減し、市民の方々が安心して接種できる体制を構築していっていただきたいと思います。

その際には、府が大規模接種会場設置の方針も示されていることから、過不足なく連携されることを求めます。接種の進捗次第では、市独自でも大規模接種会場の設置ができるように、現段階から、関係機関全てに対し、相談をしていくことは、当然重要なことですし、検討すべきであります。現在行われている高齢者の方々への接種に関しても、7月末までに8割の方の接種を完了目標とした場合、60万回以上の接種が必要となります。市民の方からは、昨日から「1回目の予約が7月末だった」とか「予約が9月、10月にしか取れなかった」といったこともお聞きします。本当に目標を達成できるのか、市民の方々から不安の声が上がっています。できうる全ての手段を用いて目標達成に臨んでいただきたいと存じますが、市長の今後のお考えをお示し下さい。


◆学校でのオンライン授業の導入について

次は、今までも、再三取り上げさせていただきました、授業のライブ配信などによるオンライン授業の導入について質問いたします。
いわゆる第3波と、変異株が主流となってきた第4波の感染者の年齢別割合を比較すると、10歳未満の割合が明らかに高まっております。

本市のライブ配信等のオンライン授業については、すべての小中学校で可能だと教育委員会からはお聞きしておりますが、昨年度の実績は20校でした。一方、保護者の方々からは、申し出たが対応してもらえなかったといったご相談も複数寄せられています。できない理由として、授業を配信するためのカメラが足りない、まだ準備が整っていない等、課題もあるようですが、学校間で大きな格差となりつつあります。しかし、学校間格差はあってはならないものです。住んでいる地域、通う学校によって差が出ることは由々しきことであります。特にこの問題については、市民も大変要望が強い課題の一つでありますから、今後はすべての学校でご対応いただき、希望するすべてのご家庭に平等な対応を早急に取っていただきたいと思いますが、ご見解をお聞かせください。


◆市民しんぶんによる情報発信について

続きまして、市民しんぶんによる情報発信の改善についてお聞きします。
市民しんぶんにおいて2月号から現在5月号まで連続して掲載されている『京都市のお金の事情』というシリーズについては、皆さんもご存じの通りかと思います。そこからご質問いたします。

まず、3月号の「収支バランスの不均衡」のところですが、こちらの2つのグラフをご覧ください。(図2)

両方とも、借金返済のための「公債償還基金」という取り崩してはいけない基金の残高推移見込みです。上のグラフが議会用の私たちに示されたグラフ、下のグラフが市民しんぶんに記載された市民の方々向けのグラフです。明らかに違っています。市民向けの情報は残高が現在と同水準で維持できると勘違いをさせるグラフになっていますが、実際は令和15年度でも右肩下がりで取り崩し続けるのが実態です。この下のグラフは目標だと言うことですが、行政として根拠のないものを目標とするのはいかがでしょうか。目標を市民の方々に示すのであれば、議会にもその目標となる根拠を示すべきです。何故、市民の方々に事実をちゃんと伝えないのか、不信感しかありません。

こちら5月号では、財政健全化への道筋を「墜落回避期」「水平飛行期」「上昇飛行期」の3段階と説明しています。(図3)議会にも実際にこの説明はありました。しかし、2月議会で、ではいつステップ2の「水平飛行期」になるのでしょうか、との我が会派からの質問に対して、目途が立たない、との答弁に終始されておられました。先ほどの上のグラフをご覧いただければわかるように、12年後の令和15年時点でも「墜落中」の計画しか示せていないのが現状です。このいかにも立て直しができるような記事は市民に誤解を与えるものです。

次に、3月号の「本市の収入の特徴」というところですが(図4)、市税収入が都市特性上少ないのに、国が地方交付税を減らすので、京都は収入が少ないから財政が厳しいのは仕方ないと言ったような記事になっています。しかし、昨年の令和元年の決算を審議した際に公表された資料では、グラフが示すように市民1人当たりの市税と地方交付税の合計は、政令市で6番目に高いのです。実態はむしろ収入は他の都市に比べ多い方にも関わらず、収入が少ないことを財政難の理由として挙げられ、あたかも京都市では手の施しようがなかった、というような表現は誤解を与えます。都合の良いように作り過ぎではないでしょうか。

5月号の審議会からの答申の中にある「市民への情報発信」というのは、今回記載されているような情報ではないはずです。市民の方々には、市民しんぶんを通して、本市の真実を明確にお伝えしていかなければなりません。これでは本市の逼迫した危機的な財政状況は正確に伝わっておりません。行政の責務として正しい情報発信をしていただきたいと思いますが、ご見解をお聞かせください。

 
◆寄付金頼みの予算編成について

最後に本市の予算編成のあり方についてお聞きします。京都市が2021年度に調達を目指す民間資金が、前年度では約11億円でしたが、今年度は計46億円と4倍になっており、そのうち約4億円は企業版ふるさと納税や個人・企業からの寄付金、協賛金となります。

この約4億円のうち2億4000万円は、今年度予算で40以上の事業の財源に組み込まれています。

例えば、ウェブ上での情報発信拠点となる「バーチャル京都館」は、予算2千万円のうち1500万円が寄付。京セラ美術館の常設展運営にも2000万円の寄付金をあてています。他にも、東本願寺前における市民緑地整備事業に2700万円や消防団や消防対策などの消防関係に5100万円など、まだ手元にない資金をあてています。獲得状況を各局にお聞きすると、まだ寄付を募るシステムが構築できていないものや、事業を周知できていないもの、数年前から寄付を募っているが毎年まったく目標額に届いていない事業など、本当に目標額を達成できるのか、かなり不安に感じるものもありました。今までも、芸大移転に関しても、二条城の修理事業に関しても十分な寄付を集めることができていません。寄付金を確保することに幾度となく本市は失敗しております。

事業費というのは原則、市民の方々に説明して税金から集めるべきものであり、寄付金という財源に頼ることは非常に不安定な財政運営だと言えます。民間資金を活用すること自体は積極的に進めていただきたいことではありますが、特に今年度や今年度以降はコロナの影響もあり、例年以上に寄付を獲得できるかは不透明な状況です。事業の中には、市民の方々の安心安全を守っていくために重要な予算も入っています。もし目標額に達しなかった場合、これらの事業に対してどういう措置を取るのか。寄付が集まらなかったので実施しません、もしくは寄付が集まらなかったので基金を取り崩して充当しますでは、どちらにせよ非常に無責任な対応になります。確定した寄付はともかく、未確定の寄付を事業に組み込むなんていうのは、本来事業予算の組み方としてはおかしいことです。捕らぬ狸の皮算用とならぬよう、年度内に確保した寄付金は基金に積み立て、翌年度予算に活用するなど対策を講じていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

以上で私の質問を終わらせていただきます。ご清聴誠にありがとうございました。

令和3年5月21日
京都市会議員 神谷修平

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