保育所条例の一部改正について(聚楽保育所)反対討論
地域政党京都党市会議員団は、議第69号京都市保育所条例の一部を改正する条例の制定について、反対の態度を表明しておりますので、会派を代表して討論致します。
本議案は、京都市立保育所である聚楽保育所の民営化が難航したことを受け、保育所自体を廃止しようとする議案であります。我が会派は、従前より市立保育所の民営化の推進には賛同しており、その立場は変わりません。また、市立保育所の廃止は一切認めないという立場でもございません。京都市の財政状況や保育の需要と供給をはじめ、影響するあらゆる課題を精査し、議論を尽くし、また関係各位に然るべき説明と丁寧なサポートを誠意を持って行うのであれば、保育所廃止という結論はあり得るのかもしれません。しかし、今回は議案の審議に際し、これらの姿勢が一切感じられません。
先ず、地域の保育需要を周辺の保育施設で満たすことができるという保育所廃止の根拠についてです。
当局は、令和3年の4月1日時点での待機児童がゼロであること、保育の申込と受入の人数を比較した際に中京区や聚楽保育所の半径1.5kmの範囲内で受入可能人数が多いこと、今後の人口減少に伴う児童数の将来予測を根拠に保育需要を満たすことができると説明します。
しかし、同じ令和3年4月1日時点で、中京区では、潜在的待機児童は39名おり、また定員外の受け入れも70名おります。また、年度途中の入園希望者はすぐには入園できず、4月迄入園を待つケースは多く、私も地元が中京区でありますので、年度途中に保育園に入園できず困っているという保護者の相談は数多く受けます。実際に令和2年10月1日時点では、中京区の潜在的待機児童は89名と更に膨れ上がります。これをもってしても、保育需要を満たせるので問題ないというのは、無理があります。
委員会では、第1希望の保育園に入れることを必ずしも保証するわけではない、定員外でも基準は満たしているなどの答弁に終始されていましたが、数字上の合計値や足し算引き算だけの机上の空論としか思えない発言が目立ちます。
自宅や職場から保育園までの距離や受入時間帯、兄弟姉妹が同一園であるか等、働く保護者にとって生命線である重要事項に全くと言って配慮がされていない考え方です。また、毎年、保育園や保育士、保護者から要望いただくように、保育士の超過勤務などの負担は大変大きく、保育の質に影響がでるだけではなく、保育士の離職による更なる負のスパイラルを生み出している中で、基準を満たしているなら定員外受入は当たり前で問題ないといった現場を全くわかっていない声が担当局から発せられることは大変危機感を覚えます。そのようなスタンスだから、待機児童ゼロで子育て環境日本一と謳いながら、市民からは子育てがしにくい街と言われ、国の基準以上の財政を投じているにも関わらず、市民から不満足の声がこれほど多く寄せられるのです。
次に、本件の進め方や関係各位への説明等についてです。本議案は、5月11日の議案発送をもってはじめて公表されたわけですが、通常であればあるべき、常任委員会での方針の事前報告や保護者・児童への事前説明が一切されないまま議案としてあがってきました。その理由は、これから年度途中で入園を検討される保護者に確定した方針を早く伝えるためという、取って付けたようなお粗末なものです。そこまで入園を検討している保護者を大事にされるなら、この4月入園の申込で申込受付後に方針転換して1歳と3歳以外の児童の受け入れを止めた件は、入園を検討されている保護者を一切配慮しない対応ですが、どう整合性をとるのでしょうか。また、今後入園を希望する保護者も大切ですが、現在預けている保護者の方が影響を大きく受けるのは誰が考えても明白であり、当事者である保護者への説明より優先するなど有り得ません。
その後、形だけ行われた説明会では、京都市は廃止の理由を自ら説明することもせず、質問には回答するという誠意に欠けるものでした。委員会で、丁寧な説明を尽くすと答弁しておりましたが、私が複数の保護者から聞いた話は全くかけ離れております。
いつから行政はこんなに偉くなったのでしょうか。市民の皆様の税金をお預かりして行政サービスを提供しているという自覚はありますでしょうか。猛省を促したいと思います。
以上で反対討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。
令和3年6月1日
京都市会議員 大津裕太