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代表質問 江村理紗議員(2021年9月議会)

地域政党京都党、右京区選出の江村りさです。京都党市会議員団を代表して小山田春樹議員と共に市政一般について質問いたします。

まず、冒頭に新型コロナウイルスでお亡くなりになられた方々のご冥福を心からお祈りいたしますと共に、コロナ禍で最前線で対応にあたっていただいております保健所・医療従事者の皆様をはじめ、安心して暮らせる京都市のためにご協力をいただいておりますすべての市民の皆様に心より感謝申し上げまして、質問に入らせていただきます。

★京都市行財政改革計画について

さて、いまだ光の見えないコロナ禍により日本全体で経済は疲弊し、とりわけ飲食店、観光産業、交通事業など多くの業種で甚大な影響が出ております。この国難ともいえる状況の中で、各自治体はこんなときこそ市民生活を守るための行政サービスを手厚くし何とか踏ん張っている姿が多く見受けられます。一方京都市では、今になって財政破綻を大々的に叫び、まさに行政サービスを削っていく動きが打ち出されております。この事態はこれまで財政が逼迫しながらも効率的な行政運営の見直しが足りず、毎年のように借金を重ねていた中で市民の皆様の目には見えにくい、将来の借金返済のための公債償還基金を取り崩すという手法で黒字運営を強調し、財政悪化の一途を辿ってきた、まさに財政規律をないがしろにした門川市長の失政によるものです。

私たち京都党はずっと以前から京都市職員の給与制度改革や投資の取捨選択、各事業の費用対効果の検証のほか国に任せられるサービスは思い切って任せるなど、ありとあらゆる側面で財政運営の健全化を求めてきましたが、京都市としての経営を意識した抜本的な財政健全化に舵を切れなかったことに強く反省を求めるものであります。

<さらなる給与カット及び公債償還基金の計画外の取り崩しの来年度脱却>

それでは具体的に、今回京都市より示されました行財政改革計画について伺います。今回、保育園や学童クラブの利用料改定、敬老乗車証の見直しなどが新聞紙上でも大きく取り上げられているところです。マスコミでは特に市民生活に直接影響を及ぼすところに焦点が当てられがちではありますが、こうした市民負担を求める前に、今回の計画はまず人件費の削減や自治体の電子化やペーパレス化による行政の効率化及び市民サービスの向上の取り組みを全面的に打ちだし、行政自らが覚悟を示す姿勢が強調されるべきであったと思います。

 実際に財政再生団体に陥った当時の北海道夕張市は改革のトップに職員給与30%カットを掲げ、また同じく財政危機に向き合った大阪府においても財政再建プログラムで年平均1,000億円を捻出した中で人件費削減が改革の最大の肝となりました。しかし京都市では、今回の計画で掲げる給与カットは人件費総額のわずか1%に過ぎず、また、市民しんぶんでは人件費を215億円削減と広報しながらもこの額は単年度ではなく今後5年間での総額です。保育事業への助成は60億円、敬老乗車証は52億円など単年度の額が示される中で、これだけが5年間の総額で語るのは広報の在り方として誠実さに欠けます。実際には政令市平均で年間171億円も人件費が高く、市の財政を圧迫している大きな要因の一つであるにも関わらず、この改革幅ではあまりに不十分としか言いようがありません。

 まずは政令市平均並みの人件費総額を令和15年度までにと悠長に構えるのではなく、一刻も早い是正を求めます。本質的に伺いたいのは、人件費を減らすことと市民サービスを削ることにおいて、市長としてどちらがより胸が痛まれるのでしょうか。人事委員会勧告を尊重すべきなのはもちろんですが、そんな余裕はないはずです。京都市職員の日々の生活給である本給はできる限り小幅な減額に抑えつつも、ボーナスを大胆に20%カットすることに加え、人事委員会勧告とは連動しない退職金の額を10%カットするなど、財政赤字を抱える組織であれば当然検討するべきであると考えます。この点において市長のご見解をお示しください。

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また、今回の財政破綻危機に直結している公債償還基金の計画外の取崩しも令和15年度まで続けるのではなく、来年度にも脱却に努めていただきたいと思います。京都市は「今すぐに公債償還基金の取崩しをやめると“市民サービスに急激な負担を求めることとなる”」と述べます。しかし、昨年11月に行財政改革審議会に提出されたこの表でも示されているとおり、将来的な京都市の試算では令和7年度までの財源不足780億円は序章に過ぎず、門川市長が今任期を終えられた後、令和8年度以降には2,640億円を改革規模で必要とし、一層厳しい財源不足に陥るシミュレーションが既に出ております。そして、令和5年度までを集中改革期間と定めるものの特別の財源対策に頼る規模は非常に大きく、その後も将来に負担をまわし続ける計画が組まれている為、令和15年度には公債償還基金の本来あるべき額の8割を使い込んでしまい、新たに2000億円という巨額の補填が必要となります。この待ったなしの状況で、1年でも早く財源捻出に努めることこそ、市民サービスへの皺寄せの回避に繋がります。今後10年以内には財政破綻の可能性があると京都市長自らが認める中で、破綻危機に直結する公債償還基金の取崩しの来年度脱却を強く求めますが市長のご決断はいかがでしょうか?

★京都市の歳入増加に向けて
<人材輩出都市・京都の特色ある企業集積>

それでは次に、収入増加策について伺います。今回の改革計画プランでは令和15年度までに税収ベースで400億円以上を増加させることが目標数値に掲げられております。京都市から委員会で示されたこの税収増が達成できるイメージは、市内に50階建てのタワーマンションが400棟建った場合の税収に匹敵するものであり、かなり壮大な目標です。

ただし、それを実現するための計画の中身はこれまでの京都市の取り組みの延長線に過ぎず、厳しい言い方をすれば総花的であり、そもそもそのことが原因で収入より支出が上回る赤字運営をもたらしてきた傾向から脱却できておりません。今回財政健全化のために歳出上限を設けていることからも、この状況下で総花的なラインナップの予算を本当に組めるのかさえ危惧するところです。

とはいえ、今回重点取組みに位置付けるリーディング・チャレンジにオフィス空間の創出や公民連携による企業誘致プロジェクトが掲げられていることは大変高く評価しております。京都市は、全国でも有数の学生の街であり、若者を引き寄せる力があるにも関わらず、市内の大学生は就職時には8割以上が首都圏や他都市へと流出してしまい、続けて家庭を持つタイミングでも再び土地価格が高い等で近隣自治体への流出が目立っています。本市の担当部署もご認識のとおり、学生の多くが東京や大阪を中心に転出してしまう原因は学生の人口に対し就職先の規模が足りていないことや地元の就職先を大学生が選んでいないことが挙げられます。これらを解決するには「産業展開」と「都市機能」を強化するより他ありません。

京都党が提言したいのはまさに『若者たちを寄せて、逃さない街づくり』です。そこで何点か提言を致します。

まずは、大学を基軸とした企業集積です。京都は国内有数の学生数を誇り、理工系大学が集積していることも大きな強みです。スーパーグローバル大学に選定されている京都大学は、最新の世界大学ランキングで61位となっており日本勢では東大に次ぐ位置につけています。アフターコロナ社会で再び国際間で活発な人口流動が起こる中では、国内のみならず世界の先進国が人口減少に直面する中、人材獲得競争も国際化を伴いさらにダイナミックなものとなることが考えられます。京都はこれまで以上に人材輩出の宝庫としての位置づけを国内や海外に強く打ち出し、企業集積の礎にすべきです。

そこで、この人材輩出の強みを活かした戦略的な企業誘致を求めます。京都市の持つ個々の特色を掛け合わせることでターゲットを明確にさせることがカギとなります。例えば、先に挙げた理工系人材輩出の強みを活かし、研究機関、IT、建築はもとより海外の製薬会社などの積極的な誘致、加えて芸術大学も多いことからデザイン部門に重きを置くメーカー(製造業)の誘致が有効と考えます。京都市の企業立地推進は、これまで対象事業社となる製造業、情報、IT関連で問い合わせがあった際に補助金の説明はしているものの、市内の事業者に偏っていることが課題です。海外であれば、欧米から来ていただくことももちろん歓迎ですが、立地面や時差でも日本への参入ハードルが低い韓国、台湾、インド、タイ、インドネシアなどアジアの企業をターゲットに京都ブランド×理工系やデザインの人材輩出の優位性を武器に働きかけを行っていただきたいと思います。

また、京都は世界でも屈指の観光都市でありながらも大手の観光企業本社はありません。本来であれば観光事業社から見ても京都に本社を構えることはブランド力を高められそれ相当の価値があるはずです。街のイメージに合致した企業集積も是非注力していただきたいと思います。

これまでは海外からの人材流入は観光と留学生が中心だったところから、いまやITのエンジニアやデザイナーの争奪戦が世界的に激化する中、優秀な外国人を採用するのに「一度は暮らしてみたい街」として京都の存在感を活かすことが求められます。実際、LINEの京都オフィス開設時には約1千人が応募し、その8割が海外からだったことからも、人材求心力を活かした企業呼び込みも加えることで、就職で人を呼び込む「採用の街・京都」としての価値を創造すべきです。そうすれば、京都に残りたくとも希望の業種が京都にないために離れてしまう学生を引き留め、また国内海外問わず理工系や芸術系出身の人材を京都ブランドと企業集積を呼び水に引き寄せる街の姿が見えてくると思います。

 今回、企業誘致に特化した専門チームを設置されるとのことで、是非そのターゲットに盛り込んでいただきたいと存じます。また、今回総合企画局の東京事務所において都市ブランディングと企業連携営業のアドバイザーを副業で募集する、スペシャリスト人材の採用を実施されたことは良いお取り組みで注目しております。このように専門チームの枠を超えて他都市や海外との接点を持つより多くの民間企業や民間人の力も広く創出していくべく、企業誘致の分野においても是非副業的な形でのスペシャリスト人材の採用を導入いただきたいと思います。加えて、企業誘致の実現に成果を出していただいた企業や個人といった仲介者へ成果報酬を支払うPFSの導入も要望いたします。

 企業誘致におきましては、国内、海外問わず人材輩出力、及び人材求心力があるという京都の優位性を大々的に打ち出し広くPRを図ると共に、京都ブランドや人材輩出特性を活かした業種及び、アジア・東南アジアに注力したピンポイントでの誘致政策の展開、そして、広く民間活力を仰げる効率的な仕組みの創出を求めます、これらの点におきまして市長のお見解をお示しください。

<オフィス空間の創出>

 続いて京都市の企業立地における最大の壁と言えるオフィス創出についてです。京都市のオフィス供給事情はコロナ禍前は2017年7月以降オフィス空室率1%台が続き、企業を呼び込み産業活性化を目指すにもそもそもオフィス空間用の土地がないことがボトルネックとなっております。コロナ禍で少し緩和しているとはいえ、特に企業の進出意欲が高い四条烏丸、烏丸御池、京都駅周辺においては需給バランスの改善の兆しが見られません。

京都市は今回の行財政改革計画の歳入増加策の中でオフィス等の延床面積を120万㎡(1,200千㎡)増やすことも目標に掲げておりますが、具体的にはどういったエリアで増加を目指されるのでしょうか。長く供給が求められ実現できずにいる大規模オフィスの供給も視野に入れておられるのでしょうか。

私たち京都党では、オフィス創出においても京都における企業立地に求められるニーズを最大限に汲み取るために3点の政策を提言します。

まず1点目です。地価の高い東京圏に集積をしている企業については、移転するとすればそこより地価が安価で一定規模以上のオフィス面積を有していること、加えて、当面東京の本社機能を残したまま、もしくは一部東京に機能を残したまま移転される動きが主流です。そうなると、やはり東京圏へのアクセスが優先度の高い条件となります。それを踏まえると京都駅周辺が最適と言えます。京都市はまさに京都駅周辺で崇仁エリアの広大な土地を所有しております。その規模は現在計画が進められている芸大エリアを除いても10万㎡にのぼり、中心市街地において桁違いの規模感です。京都経済の活性化に大きな可能性を秘めるこの土地は、オフィス創出を最優先に位置づけ開発を強力に進めていただきたいと存じますがいかがでしょうか。

続いて2点目は、研究機関、設計、デザイン部門関連の企業誘致における小規模オフィスの創出です。こういった部門では人数も数十人規模に留まるものの、街中の京都のオフィス事情には適合します。交通の便のよい都心部や鉄道沿線での誘致を進めるべきです。

最後に3点目は特定生産緑地の取り扱いについてです。京都市では、平成4年(1992年)12月2日に指定された生産緑地が全体の約9割あり、令和4年(2022年)3月末が特定生産緑地の申請期限となっています。特定生産緑地の指定を受けることで固定資産税が優遇され市民にとっては申請の促進となりますが、京都市としては今回の生産緑地が外れる期限が切れるこのタイミングを逃すとまた農地利用が続き開発の足かせともなります。特に、現在のらくなん進都は工業用地および商業用地を目指すとしながらも、あちこちに農地が点在し街の姿は目標とは程遠い状況です。京都党としては、らくなん進都においては農地利用を減らし、働く場所にシフトいただくことを望みますが、生産緑地のエリアにおいて、商業転用することでメリットを得られる仕組みづくりを考えられないでしょうか?いずれにしても、京都市として明確に方針を示すためにもらくなん進都における生産緑地の考え方を示すべきです。まとまった土地の確保ができないことが、企業立地が進まない一つの大きな要因となっている中で是非前進することを求めたいと思います。この点、市長のお考えはいかがでしょうか?

従来型の開発・整備から発想を転換し、負担が若者世代に先送りされず、かつ大学卒業後も京都で人生の幅広い選択や自己実現が叶う、京都の街の姿を望み、私たち京都党の代表質問とさせていただきます。

 ご静聴ありがとうございました。

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