市会報告~平成24年5月定例会~
【5月定例会】
5月議会では、平成24年度の補正予算として、京都会館再整備や、関西広域連合への加入に伴う分担金、水道の配水管の破損による損害賠償に要する経費などについて審議されました。京都党では、昨年の五山送り火で焚かれないまま放置されている陸前高田市の薪の早期解決に向けて動きました。各政党に協力を要請するなかで、決議書の文言修正もありましたが、最終的には議会で「陸前高田市から取り寄せた薪の早期解決に関する決議」が全会一致で可決されました。
【2011五山送り火騒動の経緯】(詳しくは京都党HPをご覧ください。)
1/被災地の薪を五山の送り火で焚くプロジェクトが立ち上がり、陸前高田の被災者330人余りが震災で亡くなった家族の鎮魂や復興への想いを託す。
2/しかし、放射能を不安視する声が大文字保存会及び京都市に殺到。
3/大文字保存会は陸前高田の薪と、例年使用している大文字の薪の放射能検査を実施。基準値を超える量の放射性セシウムは検出されず、安全と判断される。
4/それでも不安視する声が治まらず、大文字保存会は苦渋のすえ「中止」を決断。その際、市は一切の判断を保存会の責任とする。
5/しかし、被災地の薪を使用しなかったことが「五山送り火騒動」として大きく報道される。
京都党は市長に対し、「京都市民を代表して謝罪の上、市長としての見解を発表する」よう要求。
6/市は一転して陸前高田の薪受入れを大文字保存会に依頼。しかし保存会はその要望を拒否。
7/市は次に、陸前高田の薪の提供者である鈴木氏に依頼。しかし、騒動の一連の流れに心を痛めていた鈴木氏はその要望を拒否。
8/その後、市は福井県のNPO団体が五山の薪とは別に保有していた陸前高田の薪を500本調達。薪の放射能検査を実施。
9/検査の結果、表皮から基準値を超える量の放射性セシウムを検出。(薪全体としての放射線量を見れば理屈上、基準値は上回ります。ただい京都市はその測定を行っていません。)
10/結局、市は“基準値を超える薪を焚くことはできない”と判断し、陸前高田の薪の使用を断念。
11/問題は昨年の8月から放置され今に至る。
【活動報告①】
■五山送り火騒動の早期解決に向けて決議
「送り火の薪はまだ残っているそうですね。」
東日本大震災から一年以上が過ぎた4月、震災がれきの広域処理について岩手の被災地を訪れると、現地で何人もの方から問われました。京都ではほとんど忘れ去られた五山送り火騒動。しかし、被災地の方々の心には今も薪への想いが残っています。東日本大震災で亡くなられた方々の鎮魂と復興への願いを込めた企画が、結果として被災地の方々を悲しませてしまったことは残念でなりません。改めて被災者の悲しみや涙に触れ、“今からでも京都ができることをしたい。いや、託された想いのためにも、解決しなければならない” と京都党は立ち上がりました。
■薪の行方
「京都五山送り火」で燃やされるはずだった陸前高田の薪。現在は京都市西京区の圧縮梱包施設にて保管されています。薪はコンクリートブロック造りの旧機械室内でブルーシートに覆われ、10数本単位に小分けをして二重のゴミ袋に入れられた状態でした。これは、一見過度で厳重な保管にもみえますが、-ビニール袋で覆っているのは木くずが飛び散らないようにするためであり、放射性物質の飛散を懸念したものではありません。実際に保管の室内と屋外での放射線量を測定しましたが、差はなく、どちらも京都市の空間線量の平常範囲内です。
■被災地の想い
陸前高田の復興拠点「鈴木旅館」の経営者で、プロジェクトの中心人物である鈴木繁治氏を伺いました。「二度目の検出騒動で陸前高田のイメージが壊れてしまった。京都市民に「やっぱり(危険)」と思われたことにがっかりした。」「いまでも瓦礫の山を見ると、早くなくなったら。」と込み上げる思いを制し、目頭を押さえながら答えられました。(京都党HPにインタビュー時の動画を掲載しております。)
■京都市議会の動き
「陸前高田市から取り寄せた薪の早期解決に関する決議」が全会一致で可決されたことが功を奏し、各党の代表と市長による議論の場が設けられました。そして、薪を使用しての工芸品作製が市長側より提案されました。京都党からは、一般ごみ等他のものに混ぜて焼却処分する方法や、鯖江市のように陸前高田の薪を土砂崩れ防止用の杭として再利用することなどを提案しています。いずれにしても、ようやく本格的な議論が始まりました。今後も、被災地の一日も早い復興を願い、各課題に積極的に取り組んで参ります。
【活動報告②】
■放射線の風評被害への対応
がれきの広域処理や五山送り火でも問題となった放射能への風評被害。京都党では、放射能への風評被害に対し、慎重なご説明を続けています。がれきの広域処理では、放射能・放射能汚染についてのQ&Aを設けたほか、各地での放射線量の測定も実施してまいりました。これまでに測定してきた場所は、被災地のがれき仮置き場や五山送り火の薪の保管施設、その他京都市内の各所など多岐にわたります。実際の線量比較をもとに、「何となく心配」という不安のお気持ちを少しでも払拭できるよう努めて参ります。
■京都市と陸戦高田市(被災地)の放射線量
◎陸前高田市のがれき仮置き場
鉄スクラップ 0.053μシーベルト/時
木くず 0.063μシーベルト/時
コンクリート 0.064μシーベルト/時
廃タイヤ 0.066μシーベルト/時
土砂 0.102μシーベルト/時
◎京都市内各地
京都駅中央改札 0.071μシーベルト/時
★西京区に保管されている薪 0.075μシーベルト/時
京都御苑入り口 0.087μシーベルト/時
京都府庁前 0.105μシーベルト/時
京都市役所正面玄関階段 0.189μシーベルト/時
京都市役所東玄関階段 0.232μシーベルト/時
上記の通り、京都市と陸前高田市の放射線量は変わらないどころか、京都市の方が線量が高い結果も見受けられます。もっとも高い線量が測定された京都市役所東玄関階段は、五山送り火の保管薪の3倍以上にものぼります。文部科学省が公表している京都市の空間線量の平常範囲は、0.033~0.087(注1)ですが空気の流れが悪い場所などでは数倍の数値が出ます。通常の2~3倍といった数値の差は、普段の生活に溢れています。(注1福島原発事故発生以前の京都市の観測地における平常時の範囲。)
Column
①京都市がれき広域処理の受入れを断念
今年7月、宮城県はがれきの広域処理において、新たな受入れ要請を行わないと発表しました。一つには、処分するがれきの想定量が減少したことがあります。しかし、やはり関西でのがれき受入れに対する風評被害が大きかったことは、中止要因として否定できません。京都党では、がれきの広域処理を推進すべく、議会でも活発に受入要求をしてきたため、今回の結果を大変重く受け止めています。今回は議会・行政ともに決断の遅れでこのような結果となりましたが、五山送り火騒動の薪については、引き続き早期解決に向けて提案して参ります。
②いじめに関する情報をお寄せください。
大津市での大変痛ましい問題を受けて、京都党では生徒の「いじめ110番」窓口を開設します。対象は、京都市立の小中、高校、総合支援学校に通う児童及び生徒です。現在、京都市のいじめ認知件数は年間220件(平成22年度)。しかし、この件数は氷山の一角に過ぎず、実際には何倍ものいじめが様々な規模で起こっていると思われます。大津市での今回の一件を繰り返さないためにも、これを機に京都市の教育現場の実態究明を図り、制度としての課題解決を図るため取り組みを見直したいと思います。少しでもいじめに苦しむ児童や生徒をその闇から救うために、親身に教育の現場と触れ合いながら対応を行って参ります。
③人事異動のご報告
本年度より、地域政党京都党市会議員団の団長として、佐々木隆吏議員が就任いたしました。また、京都党役員として、中島拓哉議員(前総務会長) が政務調査会長に、江村理紗議員(前政務調査会長) が総務会長にそれぞれ就任いたしました。その他、代表には村山祥栄議員、幹事長には佐々木隆吏議員が継続して務めさせていただきます。お互いに仕事の幅を広げ、さらに発信力ある活動を行っていけるよう気持ち新たに奮闘してまいります。